体験談

発達障害の私が一般事務からITエンジニアに転職するまで【ASD•ADHD】

発達障害の私が一般事務からITエンジニアに転職するまで【ASD•ADHD】

転職満足度5点点/10点

ささ 男・32歳の頃(現37歳)

職業: 事務(教育人材派遣)→ITエンジニア

年収: 250万円→300万円

従業員規模: 20人→50人

社会に出てしばらくしてから、自分が障害を持っていることに気付きました。

そんな私が、どのように就職活動をして内定を獲得したかのお話がメインです。

大学卒業後から現在まで順を追って紹介します。

ちなみにさまざまな経緯があり、現在はフリーライターとして活動しております。

少しでも何かを伝えられたら幸いです。

大学卒業後に職業訓練教室の一般事務に就職

大学卒業後に、就職したのは求職者を支援する職業訓練教室の一般事務でした。

運営・サポートスタッフとして、来客応対や教室の管理全般がメインの仕事です。

  • 職業訓練を受けている受講生の困りごとの対応
  • 施設周りの管理
  • 書類作成
  • 講師のサポート

などが具体的な業務内容です。

ハローワークからの紹介で一般事務として入社していますが、さまざまな業務に対応できる能力が必要だと感じながら日々の業務を行っていました。

事務というよりも、どちらからと言えば総合職に近いイメージです。

一般事務でも業務をマルチにこなせる必要があった

さまざまな業務に携われるのでやりがいはあるのですが、仕事によっては難しくて困難な場面が多かったです。

とくに、難しいと感じたのは受講生の対応です。

中にはさまざまな事情を抱えて、職業訓練に通っている受講生もいました。

したがって、発言や対応一つ一つに気を配る必要がありました。

社会に出たばかりの20代そこそこの若者でしたので、配慮のない言動で傷つけてしまったことは少なからずあるでしょう。
突然機嫌を悪くされる方もいたので、自分を責めて家に帰ってからもずっと落ち込んでいました。

受講生同士でトラブルがあった際も迅速に対応できずに、無力さを痛感してばかりです。

職業訓練教室の運営に関わる全ての業務を器用にこなせる必要があり、正直に言えばわたしには向いていないと思いました。

自分なりに一生懸命頑張ったが会社から契約を切られる

難しさを感じながらも工夫をして業務に励みました。

日々の業務を大切にどうすれば成長できるかを考え、自分なりには努力したつもりです。

しかし、努力むなしく契約は更新されませんでした。

契約社員のため、契約を更新するかどうかの会議が契約終了の1か月前に行われます。

上司と社長、私の3人で会議は実施され、以下はその時のやりとりです。

上司 : 「申し訳ないのですが、今回の契約更新はしない方向に決まりました。」

     「理由としては、事務以外の業務でも活躍できる人材が欲しいからです。」

私 :   「具体的にどの辺りが至らなかったでしょうか?」

    「今後のために教えていただけるとありがたいです。」

上司 : 「...。」

社長 : 「事務はいらないのさ。」

私 :  「分かりました。(それだけ・・・?)」

社長の口から「事務はいらない」と決定的な言葉出たので、それ以上返す言葉はありませんでした。それほど、私が使えなかったのだと思います。

しかし、負け惜しみではありませんが、もし契約更新されていても断っていたでしょう。

心身ともに限界に来ており、転職を考え始めていた時期だったからです

職を失うショックは大きかったですが、すでに意識は次を向いていました。

憧れのIT業界への転職を決意!
転職を成功させるために転職エージェントに登録

文系なのにも関わらず、実は大学在学中の就職活動の時期くらいからIT業界に憧れを持っていました。
プログラミング関連の勉強会に誘われて参加したのがきっかけで、「1つのシステムが自分の意図した通りに動く喜び」に魅力を感じたからです。

しかし、文系の完全未経験者をプログラマーとして募集している会社は非常に少なかったです。
せめて学習経験があり、自作アプリを作っていないと内定は厳しいと採用担当者から何度も言われました。

何としてでもIT業界に転職するために、大学卒業後には清掃のアルバイトをしながらプログラミングスクールに通っていました。しかし、スクールの卒業後に世の中がまれに見る大不況になり、残念ながらプログラマーになる目標は叶えられませんでした。

そのような経緯から、職業訓練の一般事務を退職した後に、もう一度ITエンジニアを本格的に目指す決意をしました。

書籍やWebサービスを使い、深夜までプログラミングの学習を毎日のように行いました。

まさに、勉強漬けの毎日です。手に豆ができるまで学習を繰り返し行いました。

プログラミングの学習をしながら、派遣社員としてパソコンの設定などのITエンジニアに近い仕事に就いていた時期はあります。

しかし、学習にしても派遣社員での就業も面接では全くアピールになりませんでした。

正確に言えば、アピールの方法が分からなかったです。

時間だけが過ぎて行き自己流の就職活動に限界を感じ、転職エージェンントに登録しました。

転職エージェントを利用してITエンジニアに何とか転職できた

転職に成功したのは32歳。

結論を言えば、転職エージェントの力がなければ就職は難しかったでしょう

実務経験がほとんどない30代を雇う会社は本当に少ないからです。

事実、応募をしても不採用の連続。

就職活動の状況は、25社応募して面接まで進んだのが4社。

他の会社は書類選考で落ちています。

しかも、面接に進んだ会社の半分は、派遣のような働き方で収入が安定しない恐れがありました。

転職エージェントの担当者 : 「落ちても前向きに行きましょう。」

私 : 「頑張ります。(もうダメかも)」

無理に前向きになろうとしても、ネガティブな気持ちばかりでした。

転職エージェントと応募先企業との間に深い信頼関係があったことが、利用して最もメリットを感じました。

最終的に中小のIT企業に決まりましたが、その会社を受けて最初に出た選考結果は不採用。

後から知ったのですが、転職エージェントが上手く掛け合ってくれたおかげで選考結果が覆ったそうです。

私には、採用という連絡しかこなかったので全く知りませんでしたが、裏で懸命に動いてくれたおかげで内定をもらえたのを後から知って感動したのを覚えています。

結果が覆ったのも、転職エージェントが信頼されていたからに他ならないでしょう。

また、企業の選考も熟知しているので、応募書類作成や面接の指導もそれぞれの企業に合わせて行います。

登録したからと言って100%就職できるとは限りませんが、確実に個人で就職活動をするよりも内定につながる対策をできると思いました。

※ささ さんが利用した転職エージェントはリクルートです。

現在はフリーライターとして活動中

ITエンジニアから転職して、現在はフリーライターとして活動しております

希望をもって入社したIT企業でしたが、どうしても職場環境に馴染めなかったです。

短期の派遣やアルバイトで何とか食いつないでいましたが、やはり社会に出て働くことが困難に感じました。

人間関係の不器用さとストレスをためやすい特性が、就業面でとくに問題でした。

自分の中で「何で私は上手くいかないのだろう」とずっと悩んでいました。

その後、ハローワークのすすめで精神科を受診したところ、発達障害「自閉スペクトラム(ASD)」と「注意欠陥多動性障害(ADHD)」と診断されました。

「やっぱりそうだったか。」というのが正直な感想です。

少しホッとしたのと同時に、これからどうすれば良いか本当に悩みました。

精神障害者手帳を取得した後、障害者枠での就職活動をしましたが採用は非常に厳しいものでした。求人数が少ない上に書類選考は全て不採用です。

「何とかして仕事を見つけたい。」

その一心で自分が貢献できる仕事を探しました。

発達障害を診断する検査があるのですが、「言語能力」の結果だけは他の能力に比べて高かったのを思い出し、できる仕事が何かを考えました。すぐに思いついたのがフリーのライターです。

複雑な人間関係も無いですし、ある程度は自分の能力を発揮できると思いました。

実際に働いてみて大変なこともありますが、自分の知識や経験が役に立っている充実感は非常に多いです。

職場に馴染む努力も大切ですが、自分の力が発揮できる環境で仕事することはそれ以上に重要だと実感しています。

最後に、もう少し早く障害に気づいていれば、状況は少し違ったのかなぁとは思います。

ささ さんへインタビュー

編集長

発達障害をもちながらも転職を成功されたという貴重な体験談をありがとうございました。

さて、いくつかご質問させていただきたいです。

ITエンジニアへ転職したとのことですがSES•SIer系ですか?それとも自社開発などでしょうか?

ささ さん

就職した会社は、SESとSIerの両方を事業の柱にしていました。

私が所属したのはSES事業部で、お客様先での業務です。

編集長

なるほどですね。

どうしても職場環境に馴染めなかった。とありますがどのようなところが合わなかったと感じましたか?発達障害のところと関係はありますか?

SESで客先常駐をされていると環境に馴染むのが人によっては大変そうだなという印象をもっています。

ささ さん

結論を言えば、発達障害と関係はあります。

業務面と人間関係の両方に問題がありました。

まず、業務面についてです。

仕事を理解するスピードが人の倍以上かかってしまいます。

自分のペースだけで、覚えるわけにはいかないので常に周りから遅れていました。

SESはお客先で働くので、スピードはより要求されます。

例えば、ツールの使用法やファイルの場所一つを覚えるのにも、倍の時間がかかりました。
メモを見ながらようやく対応できていましたが、常駐先としてはそれではNGということです。

編集長

新しい業務先へ移動するたびにまた覚えなおさないといけないのでそれは大変そうですね。

ささ さん

はい、次に人間関係の点でも問題がありました。

というのも人間関係は、空気が読めずに失言を繰り返してしまいました。

会社からも主治医からも指摘がありました。

また、会社はスキル以上に「社交性」を要求するので、その点も難しかったです。

SNSやYoutubeで同じ状況の何名かとつながっていますが、発達障害の社会的な認知度がまだまだ低い障害で生きにくい人はたくさんいます。

その中でも、診断がつく人は非常に苦しいです。

編集長

なるほど。

ここ最近でようやく鬱に対する理解は深まってきた印象はありますが、まだまだ認知度が低い診断は理解されず個人の努力不足とみなされて悪い評価がついてしまいそれが悪循環になってしまうことは多そうですね。

ちなみに現在はフリーでライターをされているということですがITフリーランスを目指そうということは考えたりはしなかったのでしょうか

ささ さん

IT系(開発系)のフリーランスは目指そうとは思わなかったです。

理由としては、主治医から自分の能力をいかせる仕事を探した方が良いと言われたからです。要するに、「得意なことを伸ばして行った方が良い」という意見です。

これまでの経緯から、私もその考えに同意しました。

周りに人がいて助けがあっても満足に仕事ができない私が、IT系のフリーランスで活躍できるほど甘くはないと思っております。

ただし、デザインには自信があるので、現在はWeb制作のフリーランスを目指して専門講座をとって勉強しています。

編集長

得意な領域がわかっているのはとても良いですね。

Webデザイン系もまた比較的に柔軟な働き方ができる分野であると思うので良さそうですね。

編集長のノート

発達障害のような診断の方は問題のない人にとってとても簡単なことが難しかったりすると言われていますね。

その代わりに興味のある分野に対する集中力がすごかったり実力を周りより発揮したりすることもあるため理解が社会の理解が深まるとより適材適所になっていくのではないかなと思います。(そうなると良いかなと)