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【ブラックな労働者は注意】退職代行のデメリットとは

【ブラックな労働者は注意】退職代行のデメリットとは
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たかーし
二児の父親。家族との時間を作るために、一念発起して某証券会社を退職。現在は個人事業者として自由に働けるスタイルを確立し、以前より家族との時間も収入も増えました。 簡単な道のりではなかったですが、あのとき仕事を辞めてよかったと心の底から思える今があります。転職経験がある個人事業者の立場から転職のアドバイスを発信していきます。

会社を辞めたい!と言いたくても、会社の体制的に言い出せないという方や上司の反応が怖くて言えないという方もいるかもしれません。

そんな人のニーズに応える形で生まれたサービスが退職代行サービスで、労働者が会社を退職したいと考えたときに労働者の代わりに退職の手続きを進めてくれるサービスです。

ここ数年の間に退職代行を行う業者が増えて世間にも知られるようになりました。

退職代行は便利なサービスに思えますが、デメリットもあるので注意が必要です。

今回の記事では、退職代行のデメリットを解説していきます。

会社に理不尽な待遇を受けている人ほど退職代行がデメリットになる理由

退職代行においてデメリットが特に大きいのは、会社に理不尽な待遇を受けている人です。

退職代行がデメリットになる理由は以下の5つほどあります。

・未払い残業代や未払い給与を請求できるチャンスがなくなる

・パワハラやセクハラなどの損害賠償や不法な出費の請求できるチャンスがなくなる

・退職金がもらえるチャンスがなくなる

・会社から法的に請求されて裁判沙汰になる可能性がある

・有給休暇を消化できなくなる

それぞれの理由を解説します。

未払い残業代や未払い給与を請求できるチャンスがなくなる

退職代行のデメリットの1つとしてあるのが、未払いの残業代・給与があっても請求できなくなるケースがあることです。

未払い残業代・給与は、会社が事前に決めている労働契約や就業規則で定められている賃金・残業代が、所定の支払日に支払われずに会社から未払いとなっているお金になります。

これらのお金は、会社に交渉して支払ってもらえるケースもありますが、いろいろな理由をつけられて支払ってもらえないケースも多いです。

未払い残業・給与の請求ができるのは弁護士のみであり、退職代行業者が行うことは違法となっています。

退職代行に依頼して会社を辞めることができても、未払い残業代や未払い給与は手元に入りません。

パワハラやセクハラなどの損害賠償や不法な出費の請求できるチャンスがなくなる

退職したい理由として多いのが、パワハラやセクハラなどによる「職場の人間関係」です。

パワハラやセクハラが存在する場合に、会社が防止策や適切な対応をしなかった場合、労働者は会社に対して損害賠償の請求ができます。

退職代行を利用する場合、代行業者が会社に対して離職の理由を伝えることになりますが、そこでパワハラやセクハラがあったということを伝えることは可能です。

退職代行は離職のサポートや離職理由を会社に伝えることはしますが、会社と従業員の間にあるトラブルの解決までは行わないため、損害賠償の請求は退職代行を介して行うことはできません。

パワハラやセクハラなどの事実があったとしても、これらの証拠を自分で集めて会社に損害賠償を請求するのは簡単ではありません。

このようにパワハラやセクハラが原因で辞めるだけなら退職代行でも問題ありませんが、パワハラやセクハラに対し、損害賠償などのしかるべき対応を取りたいときはデメリットもあります。

退職金がもらえるチャンスがなくなる

離職する際に退職金をあてにしている人も多いと思います。

退職金は会社を辞めたときに支払われるお金ですが、支払うかどうかは会社の規定によります。

民間企業には退職金を支払わなければならないという法律上のルールがないため、会社に退職金制度がない場合は離職者に退職金を支払わなくても問題はありません。

給料、残業代の未払いは請求することができるお金ですが、退職金については支払いの請求ができないデメリットがあります。

退職代行を利用した場合、本来もらえるはずの退職金をもらえない可能性があります。

会社の立場になって考えてみると分かりますが、いきなり退職代行業者から連絡があって「会社を辞めます!」と言っている従業員に対して退職金を払おうとは思わないですよね。

退職金に給与的な意味合いがある会社なら賃金と同じように請求できることもありますが、退職代行業者が間に入って交渉・請求してくれることはありません。

退職金をあてにしているのであれば、退職代行の利用は注意が必要です。

たかーし

長く勤めている人ほど退職金は多い!退職代行の利用には要注意

会社から法的に請求されて裁判沙汰になる可能性がある

日本において、労働者は法律で守られており就職するのも離職するのも自由になっています。

本来であれば従業員は自由に会社を辞めることもできるわけですが、辞め方によっては会社から損害賠償を請求されるケースもあります。

たとえば、

・勝手に退職してしまった場合

・有期雇用で期間内に一方的に辞めてしまった場合

・退職するとき他の従業員に転職の勧誘や引き抜きをした場合

などです。このうち、退職代行で訴えられるリスクがあるとすれば、「勝手に退職してしまった場合」になります。

会社には就業規則があり、その中で「○○か月前までに退職を申し出さなければならない」のように、退職する場合は事前に申し出をしなければならないのが一般的です。

労働者がこのルールを守らず、退職代行を利用して退職し、それによって取引先から仕事のキャンセルや業務に影響が出る場合、損害賠償を請求される可能性があります。

実際に退職代行を利用して損害賠償をされるというケースはほとんどありません。

損害賠償をするにしてもお金と時間がかかり、請求できる金額に裁判が見合っていないからです。

ただし、損害賠償される可能性がまったくないわけではないので注意してください。

有給休暇を消化できなくなる

給料をもらいながら休める制度である有給ですが、法律では勤務開始日から6カ月以上勤務を続け、なおかつ80%出勤した場合に発生する権利です。

有給休暇を実際に取得するためには従業員の請求が必要ですが、法律上の権利なので会社が従業員の申し出を拒否することはできません。

そのため、退職代行を利用して離職したとしても有給休暇を消化することはできます。

有給休暇が20日間残っているなら、即日で辞めたとしても1カ月有給を使うことで1カ月分の給料がもらえるわけです。

有給を使う場合は会社との交渉が必要になります。

退職代行業者は法的な交渉をしないため、会社が有給の取得を拒めばもらえる有給がもらえなくなる可能性やデメリットがあります。

従業員が取得できる有給休暇は、勤続年数が長くなればなるほど以下の表のように増加します。

継続勤務年(年)0.51.52.53.54.55.56.5以上
付加日数(日)10111214161820

厚生労働省

有給休暇の表を参考に、退職代行で有給休暇が消化できそうにない場合は、先に有給休暇を取得してから退職代行を利用するなどの対策が必要です。

しかしながら、退職代行の利用を検討している状態ならすぐにでも仕事を辞めたい人が大半だと思うので、有給休暇を消化してから離職する準備を進めるのは現実的ではありません。

会社から理不尽で辛い思いをした人ほど回収できるところは回収していきたい

退職代行に頼る時点で円満退社ではなく、やむを得ず退職代行を利用しているケースがほとんどです。

退職代行の利用を検討している人は、会社から理不尽な対応で辛い思いをしてきた人も多くいます。

退職代行を利用して会社を辞めるだけでなく、回収できるものがあれば会社からしっかり回収したいものです。

退職代行のデメリットで紹介した給料・残業代の未払い、損害請求などは、法律の専門家が対応してくれる退職代行を利用すれば対応してもらうこともできます。

ここでは、退職代行のデメリットをカバーする方法をはじめ、行動を起こす重要性についても紹介します。

気持ちに余裕があれば弁護士を使って回収する

退職代行業者の大きなデメリットは法的な交渉ができないことです。

このデメリットは、法的な専門知識を持つ弁護士が対応してくれる退職代行業者を利用することで解消されます。

もともと退職代行は、退職代行ユニオンや退職代行業者などが行っていたサービスですが、退職代行の需要の高まりを受けて弁護士事務所でも行うようになりました。

一般の退職代行業者とは違って弁護士は本人の代理をすることができて、会社側が伝えた要求に対しても法的な交渉を含む対応をしてくれます。

給料・残業代の未払い、損害請求などの対応も弁護士が対応してくれるので、安心して次の仕事を探す準備ができます。

ただし、弁護士の退職代行を利用する場合は費用が高く、相談料が別途で取られるなどお金に余裕がないと難しいです。

気持ちやお金に余裕があり、なおかつ弁護士に交渉してもらいたいことがある場合は弁護士が所属している退職代行のサービスを利用するのがよいでしょう。

たかーし

まずは無料相談などを利用してどれくらいの費用がかかるのか聞いてみよう!

違法な会社への法的な処置が次の誰かの被害を抑える

退職代行を利用する方の中には、パワハラやセクハラ、劣悪な労働環境が原因という人もいると思いますが、法律をきちんと守らず違法な運営をしている会社は数多くあります。

労働者は法律によって守られていますが、法律がすべての会社を監視しているわけではありません。

退職代行は会社を辞めるために利用するものですが、もし有給や残業代、給料の未払いなどがあれば弁護士の力を借りて請求することをおすすめします。

違法な会社への法的な処置は、自分と同じ思いをする人を減らすことにもつながります。

たかーし

1人1人の行動が労働環境を変えていく!権利はしっかり主張しよう

退職代行を使う前に知っておかなければデメリットになるポイント

退職代行は今すぐ仕事を辞めたい人にとって便利なサービスです。

その一方でデメリットをきちんと把握しておかないと、利用したあとに後悔するかもしれません。

ここでは、退職代行を使う前に知っておかなければデメリットになるポイントを2つほど紹介します。

お金がかかる

退職代行のデメリットはお金がかかることです。

サービスを利用するのでお金がかかるのは当然ですが、退職そのものは上司や会社に伝えるだけでも問題ありません。

退職代行は3~5万円が相場になります。

上司や会社に退職の意向を伝えることと3~5万円の費用をてんびんにかけると高いと感じる人も多いでしょう。

また会社を辞めたら収入がなくなることを考えると、次の仕事が見つかってないなら少しでもお金は手元に置いておきたいものです。

退職代行は、

・会社が仕事を辞めさせてくれない事情がある

・パワハラやセクハラがひどくて会社の人と顔を合わせたくない

などで、自分で退職の意思を会社に伝えられない状態になっているときに利用することをおすすめします。

退職後に必要な書類を自身で連絡して請求することが必要になる可能性がある

退職すると、離職した会社に以下のような書類を発行してもらう必要があります。

・年金手帳

・離職票

・雇用保険被保険者証

・健康保険資格喪失証明書

・源泉徴収票

・退職証明書

・厚生年金基金加入員証

これらの書類の受け取りなどは、退職代行と会社のやり取りの中で発行してもらい、書類を送付してもらうことも可能です。

しかし、退職後に何らかの理由で別の書類が必要になった場合、退職代行との契約が切れていたら自分で連絡をして書類の請求を行う必要が出てきます。

通常の辞め方でも、辞めた会社に連絡をするのは気まずいものです。

退職代行を利用して辞めたなら、なおさら会社に連絡することに抵抗を覚えるでしょう。

後から連絡をしなくても済むように、退職代行業者に依頼して発行してもらえる書類は発行してもらいましょう。

たかーし

会社に発行してもらう書類は意外と多い!必要な書類を把握しておこう

まとめ

退職代行を利用することで上司や他の社員と顔を合わさず仕事を辞めることができます。

その一方で、退職代行を利用することで余分な費用がかかることや、法的な問題において交渉ができないなどのデメリットもあります。

退職代行を利用するなら、自分で退職することを会社に伝えることができないかどうかを考え、退職代行を利用する必要性を考えることも大切です。

できれば円満退社を目指したいものですが、それが無理なようならメリット・デメリットなども踏まえて退職代行を利用するのもよいでしょう。