「いずれは正社員として働きたい」
この思いを胸に子供の成長と共に働く時間を増やし、ついには条件に合った職場で毎日を楽しく過ごしている私の転職ストーリーです。
結婚により退職してからの話
高校卒業後、地元の農協で窓口として10年程を過ごしました。
人と話すのが少し苦手な私でしたが、窓口でお客さんと世間話をしたりして人とかかわる楽しさを覚えた時期でした。
結婚を機に地元を離れ他県に住むことになりました。
年の差婚ということもあり「いつかは正社員として働きたい」という思いが常にありました。
子どもを授かり「そろそろ外で働いてみよう」と思ったところに、ヤクルトレディさんからお誘いを受け働きだして一年が経ったころ、妊娠が分かり退職しました。
出産後は内職をしましたが、子育てと家事の合間にできる作業量は少なく、収入も1万円に届きませんでした。
その後末っ子が1歳になるころに高齢者施設でお風呂介助の仕事でパートとして働きました。
高齢者の方と接する時間は楽しくもあり、時には苛立ちもありと、色々な経験をさせてもらったと思います。
1日4時間ほどの仕事でしたが、小学生の帰宅にも間に合い、子どもたちとの時間もしっかりと取れました。
そのため心にも余裕があり、この時期の働き方としては満足していました。
4年働きましたが、次第に施設の方針に疑問を感じたことや、人間関係に少し疲れもみえてきて介護福祉士の資格がとれたことを機に転職をすることに。
ヒト相手の仕事からモノ相手の仕事へ
子どもたちが成長してきたことから、
・フルタイムで働くこと
・時給はそんなに高くなくてもいいから長く働ける環境であること
・人を相手にする仕事から離れたい
を重視して探したので正社員というこだわりは特にありませんでした。
収入の途切れる不安の方が勝っていたような気もします。
新聞の折り込みの求人紙で見つけた工場での派遣社員募集に応募し、とんとん拍子に採用が決まりました。
その工場では基板作りのライン作業をしました。一緒に働く方も工場の社員の方も良い方ばかりで楽しかったです。急な休みにも快く対応してもらいました。
その工場で、時間になったら開始し、時間が来たら帰る、という当たり前といえば当たり前の経験をしました。
それまでについた仕事では、強制されたわけではないですが、時間より早く仕事に取組み、時間より長く仕事をすることが多かったのです。
「派遣ってこんなに時間通りでいいんだ」と、とても驚きました。
他にも、人間を相手にする仕事では言われたことだけをするというのは考えられないところもあったのですが、逆に工場では言われたこと以上をしてはいけない、という感じでとても新鮮だったです。
将来に対する不安と焦り
工場で働き始めて1年ほどが過ぎたころ、40歳を迎えました。
この間は常に(いつ契約を切られるかな)という不安があり、更新してもらう都度ほっと安心していました。
この工場は少し経営に不安定なところがあったようで派遣社員は増えたり減ったりとよく代わっていました。
その工場の社員と派遣という夫婦は契約が優先されていたようですが、私はそうではありません。若くもなく、スキルもない40歳目前の私は不安でした。
この不安をいつも持っているのは正直しんどかったです。
そして一年を過ぎて、安い時給に対する不満も出てきました。本社の担当さんも「もう少しあげてあげたいんだけどなあ」というほど仕事に対し時給は低かったようです。
そういう中、いつしか「このままではいけない。正社員の道を探るなら今がラストチャンスかもしれない」と思うようになり工場で働く傍ら就職活動をすることにしました。
条件を見つめなおす
実際には40歳からの正社員求人の幅は狭く、介護職員の募集が多かったです。
高齢者介護の仕事は前々職で経験がありましたが、できるならば違う職種で探したかったのでハローワークへ行ったり折り込みチラシを見たりサイトをチェックしたりしていました。
その間も派遣社員として働いていたのですが、次の仕事が決まってからやめようと考えていたら甘かったです。
当然ですが、退職の日が決まっていない人を雇おうという会社はありませんでした。
2か月ほどそのようなあやふやな求職活動を続け、これではいけないと派遣社員を辞めて改めて求職活動を始めました。
収入のない状況はやはり怖かったです。早く働きたかった。
正社員の職を探すにあたって考えた結果、以前に取得した介護福祉士の資格を生かすほかないと考えを改め、介護施設の見学に3つほど行きました。
見学していくうちに自分の求める条件がみえてきました。
・子どもが小学生の間は夜勤はしない
・出来れば朝は7時半以降に自宅を出て、18時には帰宅
・土日のどちらかは必ず休み
・給料は安くてもボーナスが欲しい
障がい者支援施設で働く
派遣を辞めて2か月ほど過ぎたある日に見たハローワークの求人に、障がい者施設の募集があり、ダメもとで応募したところ、面接をしてくれるといいます。
緊張して訪問しました。
道も間違え少し遅刻してしまいました。ですが玄関を開けたら「こんにちはー」と利用者さんが迎えてくれ、面接も椅子を向かい合わせただけでとても面喰いました。
もっと驚いたのが面接終了後に「採用します」とその場で言われたのです。逆に私の方から「いいんですか?」と聞いてしまいました。
後日即採用の理由を聞いたところ、「変な人ではなさそうだったし、他に応募がなかったから」ということでした。(そんな理由でいいのか?)と内心ツッコんでしまいましたが。
その作業所が今私が正社員として働いているところです。今年5年目を迎えます。
作業室はドアを開ければすべてが見渡せる小さな施設です。職員も3人しかおらず、休みを取りたいときは調整が必要だったりしますがそれはどこでも同じです。
働くにあたり希望していた以上の好条件で働くことができていると思います。
・夜勤はなし
・8時に自宅を出発、18時に帰宅
・月一度だけ土曜日出勤
・残業なし
・人間関係良好…笑顔で話せる環境
・ボーナスあり
私には結婚当初より正社員で働くという夢がありました。
それに加えて条件があったのですが、今、仕事上で落ち込むことがあっても、「自分の希望がかなったのだから」と自分を納得させ反省し、前向きに考えることができます。
「まあいいか」だけで勤めていたらまたすぐ転職をしていたように思います。
自分の望む条件や妥協点など自分自身で認識して行動することが良い結果に結びつくのだと経験を通してわかりました。
内職を通じて1円の有難さを知り、短時間パートで働くことで子ども過ごす時間のありがたさを知り、派遣で働くことで時間の割り切り方を知り、今は毎日が楽しく過ごせています。
よねちゃん氏へインタビュー
体験談ありがとうございました。
質問させていただきたいです。
障がい者施設の支援員とのことですが仕事はどのような内容ですか?介護なども含むのでしょうか。
障がいのある方が施設へ通ってこられるので、一緒に作業をしたり、生活の相談に乗ったり、取引先へ納品へ行ったりしています。
基本的に身の回りのことはできる方ばかりですのでおむつ交換などの介護はしていません。必要に応じて「トイレに行こう」などの声掛けをしています。
介護とまでは言わない範囲でのお手伝いなんですね。支援と聞くと介護と同じように体を動かしたらいの重労働をイメージしていました。
40歳で正社員の募集が少なかったとのことですが、ハローワークで正社員の仕事を探す際に特に意識したことや注意したことなどはありましたか?
最初は資格経験のない自分にもできるのではないかと事務系の職を探していました。
ですが、年齢制限があったり、資格や経験を求められたりと私には厳しい条件の募集ばかりでした。
考えを改めた後の職探しは、どんな条件を求めるか、ではなく、どこを妥協できるか、を意識していたように思います。
具体的には今の職場に応募するにあたり、土曜出勤が少し気になったのを覚えています。
土日は子どもの運動教室があったので、できれば休みたかったのですが、(日曜が休みであるなら土曜は出勤でいいか)と思いなおしました。
結局土曜出勤は月に一度しかなかったので気にする必要は無かったですが。
条件を少しゆるくしたことが良かったということですね。
よねちゃん氏と同じように40歳で正社員の仕事へ転職を考えている人がいたらなんとアドバイスをしてあげますか
40歳は正社員を目指すにはラストチャンスに近いと思うので、正社員を望むならすぐに行動を起こした方がよいと思います。
求人情報を見るだけでも自分の今の立場が分かると思うのでとにかく行動してください。年齢を重ねるほどいい条件の求人は減ります。体力的にも厳しくなります。
納得できる転職ができるよう願っています。
40歳以降は正社員だった人でも転職で苦労しますので早めに準備をしっかりしておくと良いですよね。
ありがとうございました。