50代で転職したいと考えていても、年齢的に転職が厳しいのではないかと不安に感じている方もいるでしょう。
結論から言うと50代の転職は簡単ではありませんが、50代で転職に成功している人もいます。
転職を成功させるためには、しっかりポイントを押さえること、成功例に基づいた転職計画を立てるのがポイントです。
この記事では、50代が転職を成功させるためのコツを紹介します。
50代の転職が厳しいと言われている理由
転職市場では20代や30代の需要が多く、40代以降は年齢と共に需要が少なくなります。
20代や30代の需要が多いのは、「企業が即戦力を求めている」という理由があります。
即戦力だけで見ると、20代や30代よりも40代や50代の方が有利に感じるかもしれません。
即戦力は知識やスキルだけでなく、コミュニケーション能力や環境適応能力などもあり、社会経験が少ない若者の方が柔軟性もあってこれらの能力が期待できます。
また50代を採用すると会社は年齢や経験に応じて高い給料を払わなければなりません。
50代に比べると20代や30代の方が安いコストで採用できること、これから長い期間に渡って働いてもらえるなどのメリットがあるため、50代よりも若者を積極的に採用します。
以下のグラフは平成30年に厚生労働省が行った「年齢階層別転職入職率」になります。
40代から50代になると転職入職率が一気に下がるのが分かりますね。
グラフを見ても分かるように、50代は年齢的に転職が厳しくなっています。
50代で転職成功させる人のパターン
50代での転職は、転職活動が長期化することや収入が減少する傾向にあります。
なかなか仕事が決まらない、希望する条件の仕事が見つからないなどの理由から気持ちに焦りが出てくることも少なくありません。
その一方で、50代でも転職成功させている人は多くいます。
同じ50代でも転職成功させる人とそうでない人にはどのような違いがあるのでしょうか？
ここでは、50代で転職成功させる人のパターンをいくつか紹介します。
知り合い経由で転職する
50代で転職を成功させている人の中には、人脈を駆使している人も多いです。
中高年の転職方法やルートはいくつかありますが、その中でも知り合いに紹介してもらって転職する方法は転職成功率が高くなります。
転職する側の視点から見ると、自分の過去の仕事の実績や人柄を理解している人に紹介してもらえるので、会社から評価がされやすいメリットがあります。
採用する会社側から見ても、信頼できる人から紹介された人なら、そうでない人よりも仕事をすぐに辞めることやトラブルメーカーになるリスクが低いと考えます。
他にも、知り合い経由で転職するメリットには以下のようなものがあります。
・入社前に詳細な条件や雰囲気などの内部事情を知ることができる
・転職活動の手間や時間がかからない
・管理職クラスで紹介してもらえることがある
・自分の実力以上の会社でも入社できることがある
・書類選考を飛ばして面接に進むことができる
などです。一方で、知人の紹介で転職するデメリットには以下のようなものがあります。
・辞めにくい
・会社が合うとは限らない
・入社した際に周囲の視線が厳しいことがある
知り合い経由で50代が転職を成功させるためには、普段の人付き合いを大切にするのがポイントです。
私は大手証券会社から個人事業主に転職した経緯がありますが、独立した際に証券時代にお付き合いがあった顧客の方には大変お世話になりました。
普段からこまめに連絡を取って相手の要望にしっかり応えていたことが、信頼につながったのだと実感しています。
普段から人付き合いを適当にしていると、知人にいい条件の仕事を紹介してもらうことはないでしょう。
紹介する側も、自分が紹介した人が会社で問題を起こすと信頼を失うことになります。
この方法が通用するのは、仕事の能力が一定以上あって人とのつながりを大切にしている人です。
自身の経験を生かせる場所を見つけて転職する
50代で転職成功させている人の中には、自分の経験を生かせる場所を見つけている人が多いです。
経験を生かして転職するなら、同業種→同職種の転職をおすすめします。
たとえば、保険会社の営業から違う保険会社の営業、販売会社の企画から違う販売会社の企画などです。
さらには、過去の実績や経験を未来に活かせることをアピールできれば転職成功率はさらに上がります。
たとえば、「私は過去に○○億円規模のプロジェクトを成功させました。この成功例を御社でも活かしたい」のようにアピールできれば理想です。
自分に経験やスキルがあっても、それを生かせる場所を見つけるのは簡単ではありません。
同業種・同職種の求人を見つけても、会社によって求めている経験やスキルは異なるからです。
自分の経験を活かせる職場を見つけるためには、自分で求人を探すよりも転職エージェントを利用することをおすすめします。
転職エージェントなら無料で転職活動を進めていけることに加え、転職のプロが自分の経験やスキルを最大限に活かせる求人を探してくれます。
転職エージェントは20代や30代などの若者向け支援と思う方もいるかもしれませんが、40代や50代以上のミドル向け転職のサポートも行っています。
50代でもハイクラスの求人に巡り合えることもあるので、転職活動を進めるなら転職エージェントも活用しましょう。
50代の転職成功者の多くは転職エージェントを活用！自分の市場価値を知るためにも活用しよう
50代が企業に懸念されやすいポイントに対処できている
50代で転職に成功する人と失敗する人の違いは柔軟性です。
50代にもなると自分の考えがしっかりあるのが普通ですが、その一方で自分の考え方に固執して自分を変えることができなくなります。
このような柔軟性の低さを、50代の求職者に対して企業は懸念しているわけです。
視点を変えれば、50代が企業に懸念されやすいポイントを把握して対処することが転職成功率を高めることにつながります。
50代が企業に懸念されやすいポイントと対処法を以下に紹介します。
・若手社員よりも給料が高く人件費が高い
┗給料が下がることを受け入れる。下手に給料交渉をしない。もしくは人件費相応の価値がある人材であると経験やスキルをアピールする。
・プライドが高い
┗過去の実績と人柄などで謙虚な姿勢をアピールする。たとえば、「過去に年下の上司と働いていた、営業先が年下ばかりだった」など。
・体力的に厳しい
┗仕事に対して前向きな姿勢をアピールする。ランニング、テニスなど運動をしているなら体力アピールもさりげなく行う。
企業が50代に対してどのような懸念を持つか、また懸念に対処することはできるかなどのポイントをまとめておきましょう。
複数の企業に努めた経験がある
転職を繰り返すことは転職市場においてデメリットになることも多いですが、50代なら1つの企業に勤めたことしかない経歴よりも、複数の企業に勤めた経歴を持つ方が優遇されることもあります。
転職を経験して複数の企業に勤めるメリットは、企業を渡り歩くことによって新しい経験やスキルを習得できることです。
異なる組織で働くことによって価値のある経験を積むことができて、そこで身につけた経験やスキルは新しい職場で違う角度から役に立つこともあります。
これはスキルの掛け算に通じるところもあります。
スキルの掛け算は複数のスキルを組み合わせて新しい可能性を生み出すものです。
たとえば、「IT×デザイン」、「数学×企画」、「プログラミング×営業」のように、1つ1つのスキルで見れば珍しくないですが、複数のスキルを保有すると希少性が高まります。
複数の企業に勤めた経験があるなら、その企業でどんな経験・スキルを習得したか、これらの経験・スキルを転職希望先の会社でどんな風に活かせるかをアピールする必要があります。
一方で、転職回数が多いことはデメリットにもなるので注意が必要です。
採用する側になってイメージしてみると分かりやすいですが、何度も転職している人を雇うと「すぐに辞めてしまうのでは？」と思ってしまいます。
採用する企業側からすると、採用にはお金と時間と労力がかかるため、採用した人材には出来るだけ長く働いて欲しいと思うものです。
特に50代で転職回数が多いと、「人柄に問題がある」、「適応能力がない」など、若者に比べてさらに評価は悪くなります。
転職回数の多さがマイナスにならないよう、複数の企業で経験やスキルを新しい職場に活かせるようにアピールしていくのがコツです。
マイナスをプラスに変えよう！転職経験もアピール次第で有利になる
ベテランやマネジメントの豊富な経験がある
50代で転職に成功しているのは、ベテラン・マネジメントの経験などが豊富にある人です。
マネジメント能力は「管理する能力」のことで、物事を管理・運営する能力を指します。
具体的には、
・人を育てるコーチングスキル
・目指す方向性を示す目標設定
・掲げた目標を遂行するための意思決定スキル
・成果を上げるスケジュール管理スキル
などがあります。マネジメント能力は課長や部長の役職に就いた経験があるだけで一定のアピールはできますが、役職だけでなくマネジメント能力を発揮したエピソードを交えるのがコツです。
たとえば、「前職ではサイト制作部署の課長として20人の部下を率いていました。課長職に就いた当初に納期遅れが課題としてあったため、管理シートを作って各案件の進捗状況を把握できるようにしました。部下にも管理シートを出してもらって納期に遅れないための仕組みを作りました。」
このようなエピソードがあれば、マネジメント能力の強力なアピールになります。
マネジメントの実績があれば50代の転職成功率はグッと上がる！
まとめ
50代の転職は厳しいものの、失敗しやすいポイントを押さえて対策をすれば成功させることもできます。
50代になれば人生経験も豊富にあるので、これまでの経験や仕事を通して培ってきたスキルをいかにアピールできるかどうかがポイントです。
また50代に対する企業の懸念を理解し、その懸念を払拭できるようなアプローチも重要になることを覚えておきましょう。
