体験談

【厳しいノルマで】不動産営業から未経験の広告系ライターへ

【厳しいノルマで】不動産営業から未経験の広告系ライターへ

転職満足度10点/10点

あきと 男・28歳の頃(現34歳)

職業: 営業(不動産)→ライター(広告)

年収: 400万円→400万円

従業員規模: 100人→200人

これは会社のインセンティブに不満があったことをきっかけに広告系ライターへ転職した話。

営業職としての日々

28歳当時。私は不動産関連の会社で営業職に就いておりました。

街の不動産仲介業ではなく、オーナー様から物件を買い取る部署に所属し、日々業務に取り組んでいました。

その時勤めていた会社は買い取った物件を売る部署が別にあり、非常に粗利益の大きいビジネスモデルでした。主な顧客は企業や投資家・富裕層がメインで、仕入れた物件はわりとすんなり売却できていたのもあり、営業部への買い取りノルマはかなり高めに設定されていました。

営業と言えば製品を売りに行くイメージが強いのが一般的かと思います。

欲しがっていない人に売るのは勿論難しいですが、売る気がない人から買い取るのも、また悩まされる事が多い仕事でした。

とは言え、物件を仕入れないことには会社の業務も循環しないですし、利益も上がらなくなってしまうので、使命感とやりがいを感じながら勤めていました。

インセンティブ制度への不満

不動産売買の営業は残業が非常に多いです。

営業職自体、比較的残業が多い職種だとは思いますが、不動産関連は特にその傾向が強いというのは至る所で聞きます。

私の当時の残業時間は60時間~80時間はほぼ確実に発生し、100時間を超えることも珍しくありませんでした。

オーナー様の都合がつく時間帯がバラバラなので、定時過ぎにアポを入れることはしょっちゅうでした。空白の時間にはテレアポ・資料作成を行い、商談後には次の日の商談用の資料作成をし、報告書を提出。

定時前も定時後もひたすらこれの繰り返しで、間にミーティングや他部署との連携、他の営業との情報共有等で1日中ビッシリ働いていました。

また、これは私のパフォーマンスの問題もあるのかもしれませんが、休日も資料作成をしなければ商談に間に合わない、なんてこともしばしばありました。

28歳の時点で入社2年程でしたが、正直かなり疲労が溜まっていたと思います。

ただ、当時はとにかく沢山稼ぎたいという気持ちが強く、それだけがモチベーションの支えでした。

しかし、入社当初から感じていた2つの疑問点が日に日に大きな不満になっていました。

その疑問点とは

  1. 残業代は60時間を超えないと発生しない、みなし残業。
  2. インセンティブはノルマを達成しないと発生しない
  1. に関して。当時の私の基本給は25万(みなし残業60時間込み)でした。

営業職によくある給与条件で、時給換算するとアルバイトや派遣社員と同等かそれ以下なのは入社前から解っていたことです。
インセンティブと賞与で大きく回収することを目標にすれば時間を投資する価値があるというのが、営業職の魅力でした。

そして②へと繋がっていくのですが、インセンティブの制度は会社によって違うので、入社してみないとわからないというのが実情です。(面接で聞くこともできますが、合格率が下がる傾向にあるという説から、そちらは控えました)

(結果さえ出せばインセンティブで稼げるのだから深く考えても始まらない)

(契約を取ってくることだけを考えればいい)

入社当時の私はそう考えていましたが、これが甘かったのです。

インセンティブが発生する境界線(ノルマ)の売り上げが非常に高く設定されており、平均より少し上の成績を収めても、1円も貰えないという仕組みになっていたのです。

1年目までは自分の実力が及ばないから仕方ないと思っていましたが、数字を把握できるようになり、段々と一部のスーパーマン以外は報われないのではないか?という思いが募っていきました。

営業を諦め、転職を決意

ノルマが高く設定されている分、達成時の還元率も高く設定されているのは「飴と鞭」だと思いました。
理にかなっているようにも思えますが、組織としては悪循環を生み出す要因だと考えるようになっていきました。

私は経営者ではないのでポジショントークになってしまいますが、少なくともスーパーマン以外の営業は短期離職が絶えないという事実がありました。

殆どが1年以内に辞め、また新しい人が入ってくる。人件費を回収できる程度の人材を使い捨て前提で雇い、上位に入ってくる超優秀な人材にだけ報酬を与えてクロージングする。
会社にその意図があるかは定かではありませんが、事実上その状態でした。

「会社の方針が間違っている」

とまでは言えませんが、このままでは費やしている時間が勿体ないと感じるのは自然な流れでした。

当時の年収の内訳は基本給25万×12=300万。
これに年二回の賞与でざっと350万。61時間目から発生する残業代を80時間以上こなすことでギリギリ400万。賞与が必ず出るとは限らない。

今まで辞めて行った人たちも割に合わないと判断したのだろうと思いました。

ただ、私としては最後の一線として「今後、営業成績を飛躍的にあげられるか」を考えました。

結論としては自分には限界があるという事を受け入れました。

別の会社、別の商材なら活躍できる場があるかもしれません。
営業職そのものが悪いというわけではありませんし、会社によっては社員のモチベーションコントロールが健全な所もあるかもしれません。

しかし、入社してそれなりの時間をかけてみないとわからないので、これ以上営業でのキャリアを積むのはリスクが高いと判断しました。
とは言ったものの、自分にはその程度の能力と忍耐力しかないのかと、当時は落ち込みました。

エージェントからの打診で思わぬ職業へ転職

沈んだ気分のままではあったものの、転職活動はすぐに取り掛かりました。

営業の仕事もエージェントを通して入社したので、今回も同様の方法で転職活動を開始しました。

エージェント転職の良いところは主に3つあります

  1. 非公開の求人を開示してもらえる
  2. 内定の可能性がある企業を客観的に絞ってくれる
  3. 年収の交渉をエージェントが行ってくれる
  1. に関しては本当に的確な判断をしていただけるので、無駄な労力を使わずに済みます。

(実際、受かるのは難しいと打診されていた企業は全滅した過去があります)

  1. も自分からは申し出にくい事ですが、エージェントが間に入ってくれるので希望を伝えやすいですし、先方の温度感等でいくらくらいまでなら希望しても問題ないか、等のアドバイスも貰えます。

転職活動を始めた当初はまだどの業界・職種に行くかを決めきれてなかったのですが、そういう時こそエージェントを利用することをお勧めします。
経歴から適切な市場価値を見出し、現実的な職種を提案してくれる場合があります。勿論、自分の意思をハッキリと持って相談するのも大事です。

私の場合、30歳間近で営業やサービス業の経験しかなかったので、近しい職種でないと厳しいかと思っていましたが、担当してくれたエージェントさんがこんな提案をしてくれました。

「不動産営業をやっていた経験を活かせる、別の職業があれば興味はありますか?」

私は思わず、「今から移れる業界なんてあるんでしょうか?」と答えました。

エージェントさんが続けて答えます。

大丈夫です。経歴だけでなく、実際に経験してきた業務内容との親和性があれば評価されますよ。不動産売買の経験となれば、オーナーさんとのやり取りで幅広い分野の予備知識を持っているかと思いますので、広告業界でのライターなんてのはいかがでしょうか?

この言葉に希望を抱いた私は是非お任せしたいと思い、求人案件をリストアップしていただきました。そして、10社程の企業が上がってきました。

前述のライターに加え、広告制作やマーケティング系等の職種も混ざっていました。
後日談ですが、面接でお話を聞いてみると、確かに不動産業界と広告業界は親和性の高い部分が多く見受けられ、自分でも意欲が湧いてくるのを実感しました。

最終的にはエージェントさんが勧めてくれた通り、ライターの仕事に就く事ができました。
クライアントから執筆の依頼を受け、様々な分野の記事を書いていく事で自分の知見も広がる、とてもやりがいのある仕事です。

元々、物件オーナー様との雑談や売却におけるメリット提示の為に様々な角度から資料を作成してきたので、文章を書くことは全く苦ではなく、むしろそういった作業の方が自分は向いているのだと自覚しました。

さらに、広告業界は給料の水準が比較的高いので、年収を据え置きに出来たことは嬉しかったです。
残業もみなし40時間と、以前の会社と比べて緩和されました。基本給が前の会社よりも高いので、40時間分は妥当な範囲だと思えます。

インセンティブはありませんが、私にとっては安定したモチベーションで働ける環境でしたので、とにかく良い仕事をして、役職を目標に頑張るというスタンスになりました

私は好きなことを仕事にするという概念がないので、お金ばかりにこだわっていました。

収入を上げるという意識は今でも変わらないですが、自分の仕様に合った仕事を選ぶという事がとても重要なのだと学びました。

あきとさんへインタビュー

編集長

営業から広告ライターへの異業種の転職は初耳でした。そこで質問がいくつかあります。

広告系ライター業とのことですが業務はどのようなものがありますか?

あきとさん

基本的には他社から執筆を依頼されたテーマでライティングをする仕事です。

広告としての使用目的が殆どですが、案件によってはコラムのようなものまであります。

自社で運営しているメディアでの商品紹介等の依頼も多かったです。

編集長

ライティングに関わることは幅広く手をつけているのですね。

広告系ライター業の募集はけっこう多いものでしょうか?

また、他の営業経験者でも挑みやすいものだと思いますか?

あきとさん

私が勤めていた他社案件を引き受ける企業は多くないです。

自社メディアのライターなら常に一定数の募集はあるかと思います。

他商材の営業経験者でもポテンシャルをアピールできればチャンスはあると思います。営業経験を執筆にどうフィードバックするのかを明確にしておくと良いかと思います。

編集長

なるほど、営業経験をライティングに活かせる点について伝えることができればチャンスはありそうですね。

最後に、異業種へチャレンジしたいと思っている人へ何かアドバイスをお願いいたします。

あきとさん

今が一番若くて市場価値が高いという認識を持ち、早めに行動すると良いと思います。

会社に勤めながらでも良いので、まずはエージェントに相談してみると、業界の事や自分への適正も見えてきます。転職後の具体的なイメージが湧くようになると、意志も固まりやすいので、情報収集だけでもしてみると良いと思います。

営業経験は伝え方次第でいろいろな業種への転職に応用できます。そのため異業種へ転職するなら今が一番若いのでなるべく早い方が良いかもしれませんね。

※あきとさんは転職エージェントに「type 転職エージェント」や「DYM就職」を利用しています。