ハッキリいって転職理由はうしろめたいけど本当のことを伝えても良いのかな
本音で話せるならそうしたいけれどどこまで話して良いの?
転職面接では、必ずと言っていいほど前職の退職理由を聞かれます。
人間関係、職場の不満、やりがいがないなど、退職理由の多くはネガティブな内容です。
ネガティブな転職理由をネガティブなまま面接官に伝えるのはよくありません。だからと言って本音で話すのがNGなわけでなく、少しでもポジティブに伝わるように話すのがコツです。
私は30代で転職を経験しましたが、人間関係や職場環境よりも給料面での不安が転職のきっかけになりました。
今回は転職を検討している人向けに、ネガティブな転職理由の伝え方を解説しました。
転職理由は本音で話すのはあり。ただし伝え方が問題
面接官が転職理由を質問してくるのは主に以下の2つの目的があります。
・応募者が企業の求めている人物像と一致しているかを確認するため
・入社して前職と同じ理由で退職されないかを確認するため
ネガティブな転職理由がNGになるのは、入社しても同じような理由で退職をするリスクや自社の悪口を周囲に言いふらされることにリスクを感じるからです。
仮に転職理由が「人間関係が最悪」という内容だったとします。
面接官の立場になって考えたときに、「人間関係が最悪だったので辞めました」と言われたらどうでしょうか?
転職しても同じように人間関係に不満を持ち退職するかもしれませんし、次の転職先で同じような不満を言われて会社の悪い噂が流れるかもしれないですよね。
嘘を作って転職理由にする人も多いですが、転職理由を本音で話すのはNGではありません。
本音で話した方が転職先の企業も求職者の気持ちを考えてくれて、前職と同じような失敗をしないように配慮してもらえることもあります。
たとえば、「転勤が嫌で会社を辞めた」という転職理由が伝われば、転職が少ない部署に配属してくれるかもしれません。
理想は転職理由を分かってもらいつつ、ネガティブにならないように伝えることです。
嘘をつくと後からしんどい!まずは言い回しで伝え方を変えてみよう
ネガティブな転職理由の5つのケースを前向きな転職理由に変える方法
それではネガティブな転職理由の伝え方について見ていきましょう。ここではネガティブな内容として多い5つの転職理由と前向きな転職理由に変える方法を紹介します。
給料に不満があるケース
私が30代になって転職をしたのは給料アップが目的です。実際に地域密着型の証券会社から大手証券会社に転職したことで年収は600万円から1000万円にアップしました。
給料に不満があるという理由は退職理由として問題はないです。しかし「給料が低い」と面接で伝えるだけではお金に固執しているような印象を与えてしまいます。
そもそも給料とは仕事に対する報酬であり、「給料が安い」と伝えるのは「自分の能力が低い」と言っているようなものです。私も転職理由を考えるとき、給料の不満をそのまま伝えてしまうのはよくないと思って以下のような転職理由にしました。
<前向きな転職理由>
「御社はグローバル展開していますが、海外留学の経験や前職の営業成績を活かせる環境で働きたいと思い応募しました。自分の成果に対して正当な報酬が得られる企業で貢献したいと思っています。」
「給料が安い、不満」という言葉はどこにもないですね。しかし「自分の成果に対して正当な報酬が得られる企業」というところで暗に前職がそうでなかったと伝えています。
このように言い回しを変えるだけで、ネガティブな言葉を使わず転職の意図を伝えることも可能です。
給料の不満は仕事の頑張りで解消する心意気も必要!不満ばかりの人に限って仕事ができないことも多い
人間関係に悩んでいるケース
・上司のパワハラがひどい
・同僚のいじめが辛い
・取引先の人と合わない
・職場に馴染めない
人間関係の悩みは、誰しも1つや2つ抱えているものです。
人間関係の悩みと言っても人によってさまざまです。自分で処理できるうちはいいですが、ストレスで仕事に影響が出てきたら離職・転職して環境を変える必要も出てきます。
人間関係の不満や悩みを転職面接でそのまま伝えてしまうと、「コミュニケーション能力がない」、「人間関係に馴染めずに辞めてしまう」、「職場の雰囲気を乱す」などネガティブな印象を持たれるので注意してください。人間関係を転職理由にするとしても、好き・嫌いの感情を問題にするのはNGです。以下のように前向きな転職理由で伝えましょう。
<前向きな転職理由>
「前職は年齢やキャリアに関係なく上司の指示に従って働くことが原則となっていました。5年の勤務を経てビジネス・基本のマナーが身につけられてきたので、さらに成長するためには上司の指示で動くだけでなく主体的に行動する必要があると感じています。社員が主体的に働ける環境で仕事をしたいと思ったのが転職理由です。」
前半で上司との人間関係が退職理由であると伝えつつ、後半で主体的に働きたいという気持ちを伝えることで全体を通してみると前向きになっています。
仕事にやりがいがないケース
・単調な仕事がつまらない
・入社したときの新鮮な気持ちがなくなった
・新しい仕事を任せてもらえない
・仕事に魅力を感じない
など、仕事のやりがいも転職理由の1つです。
特に仕事に慣れてくる30代は、入社したときの新鮮な気持ちが薄れてマンネリ化しやすい年代でもあります。
やりがいが感じられないという退職理由を面接でそのまま伝えてしまうと、「自分で改善する気持ちがなく主体性がない」と悪印象を与えます。
そもそも仕事のやりがいとは、仕事の中で自分が見出していくものです。転職理由でやりがいを持ち出すなら、主体的にやりがいを持って働けることをアピールするのがコツになります。
<前向きな転職理由>
「前職は営業をしていましたが、お客様の抱える課題やニーズなどの声を多数聞きましたが、営業として出来ることには限界がありました。これまでの経験や知識を活かし、お客様のニーズに応えられる商品の提案・企画がしたいと転職を決意しました。積極的にお客様の声を取り入れて商品開発に活かす御社なら自分の経験や知識が活かせると感じています。」
営業の仕事にやりがいがなくなり、他の仕事にもチャレンジしたいときの転職理由です。これまでの経験や知識を活かし、仕事の幅を広げると言うニュアンスで伝えると面接官の印象も良くなります。
休日や残業時間の待遇がよくないケース
会社によっては、長時間労働が当たり前で休日が少ないところもあります。
休日が増えて残業時間が減れば自由に使える時間は増えるわけですから、プライベートを充実させることや副業をして収入を増やすことも可能です。
休日・残業時間は、自分1人ではどうにもならない問題なので、転職をするきっかけとしては珍しくありません。
休日や残業時間を転職理由にする場合、それが法律で決められている残業時間や休日数を超えていれば伝えても問題ないでしょう。
たとえば、残業時間が月に100時間を超え、休日数が月に4日なら退職理由として通用します。
ただし、転職面接で「休日が少なく残業時間が多いのが不満で辞めました」と伝えてしまうだけだと、「待遇ばかり気にしている。部署が変わって残業が増えたら同じ理由で辞めてしまうのでは?」と面接官は捉えます。
その会社で働きたい理由も合わせて伝えるのがコツです。
<前向きな転職理由>
「前職は月に100時間ほどの残業があり休日出勤も常態化して仕事に集中できる環境ではありませんでした。
営業の仕事そのものはやりがいを持って働いていました。御社は労働環境の改善に取り組んでおられ、1人ひとりの生産性やライフスタイルをサポートする取り組みをしています。その中で自分の経験やスキルを活かして働きたいと考えております。」
このように前半に退職理由、後半にその企業で働きたい理由を持ってくると全体的に前向きな印象になります。
社風が合わないケース
・普段の会話や飲み会の雰囲気が合わない
・体育会系のノリについていけない
・仕事のスタンスが他の社員と合わない
・企業理念が共感できない
など、社風を理由に転職する方もいます。転職で同じ失敗を繰り返さないためにも、社風が合わなかったことを退職理由として伝えるのは問題ありません。
ただし、前の会社の悪口や愚痴はマイナス評価につながるので、伝え方には十分に注意しなければなりません。
抽象的な表現ではなく、転職してどんな働き方がしたいのか具体的に伝えるのがコツです。
<前向きな転職理由>
「前職は年功序列型で上司や先輩に意見や提案ができない雰囲気があります。御社は成果主義の考え方で年齢に関係なく自分の実績を評価していただけると感じました。また部下・上司に関係なく意見を出し合える環境にも魅力を感じました。」
このように社風が合わない具体的な理由を説明し、その問題が転職先の企業で解決できるような伝え方をすると悪い印象は持たれにくいです。
面談相手に刺さる本音とは
転職面接では、面接官の心を掴めるかどうかで採用の可否が決まることもあります。
面接ですべての本音を伝えられるのがベストですが、中には「人間関係がイヤで他の会社に転職したい」のように本音で話したら逆効果になるような内容もあります。
退職理由・転職理由のすべてを話すのではなく、面談相手に刺さる本音と逆効果になる本音を分けて考えることが大事です。
自分が自分の本心を理解してないこともあるので、まずは紙に退職・転職理由を書き出しましょう。その中で面談相手に刺さる本音をピックアップし、面接のときに伝えるのがベストです。
たとえば、「大きな仕事がしたい」という退職理由だった場合、大きな仕事の具体的な内容として「海外案件の担当」だったとします。
志望動機として「大きな仕事がしたいので海外案件を多く取り扱っている御社で働きたいと思った」だと心には刺さりません。
もっと深く考えて、「将来的に海外のプロジェクトに関わりたいと思っています。御社のアジア圏の進出に興味があり、留学経験を活かして海外の研究プロジェクトで貢献したいと考えています。」と伝えるとどうでしょうか?本気度が伝わりますよね。
自分の気持ちに向き合い導き出された気持ちこそ面接官に刺さる本音です。
本音は本心!まずは自分の心に向き合おう
人事が採用者に心配しているポイントを抑えて安心させよう
面接官は以下のようなことを考えながら面接を行っています。
「すぐに辞められたら困る」
┗志望動機や転職理由から長く働けるかどうかを判断
「採用しても活躍しないと困る」
┗自己PR、経験、能力、ポテンシャルで活躍できるかどうかを判断
どんな退職理由でも、その会社で働きたいという意志がしっかりと伝わり、その会社で活躍できるだけの能力や経験、ポテンシャルのアピールができれば採用される確率はグッと上がります。
裏を返せば、自社にとって不都合・不安材料にならなければ退職理由はどうだっていいわけです。本音を伝える上で大切なことは、以下の3つに具体性を持たせることです。
・その企業を選んだ理由
・具体的なエピソード
・自分はどんな貢献ができるのか
たとえば、その企業を選んだ理由が「スキルアップできる」という理由だけでは心に響きません。
具体的に「○○の事業展開をしていることに魅力を感じる。私の○○の知識を活かし○○の経験を積めば、さらに○○のスキルアップにつながる。」と伝えれば、面接官は「入社後の行動や目的に具体性があってすぐに辞めることはないだろう」と安心します。
まとめ
転職理由を本音で話すことは問題ありません。しかし、本音で話すなら採用したくなるような言い回しで伝えることが大切です。
本音を伝える上で特に意識して欲しいのは、
・前職の愚痴、不満は言わない
・主体性と具体性を持つ
・面接官の立場になって考える
この3つになります。転職理由の伝え方で採用が決まることもあるので、面接を受ける前に転職理由を伝える心構えをしておきましょう。