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離職率の調べ方5選【計算方法もわかる!】

離職率の調べ方5選【計算方法もわかる!】
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たかーし
二児の父親。家族との時間を作るために、一念発起して某証券会社を退職。現在は個人事業者として自由に働けるスタイルを確立し、以前より家族との時間も収入も増えました。 簡単な道のりではなかったですが、あのとき仕事を辞めてよかったと心の底から思える今があります。転職経験がある個人事業者の立場から転職のアドバイスを発信していきます。
困っている女性

リサーチしている企業に掲載されている離職率を見るととても低いけれどどうもしっくりこない。

企業の離職率を自分で調べる方法は何かないの?

そんな人へ向けて記事を書きました。

就職・転職する企業がブラックか事前に知っておきたいですよね。
職場環境は実際に働いてみないと分かりませんが、離職率は事前に調べてある程度のブラック判断を行うことができます。

離職率が高い企業はブラック、反対に離職率が低い企業は働きやすいと見なすことで、就職・転職に失敗するリスクを減らせます。
離職率を調べる方法はいくつかあります。この記事では離職率の調べ方や計算方法などをまとめているので最後まで読んでみてください

一般的には 1年以内の離職率は15%程度、3年以内に30%程度の離職が平均

一般的には 1年以内の離職率は15%程度、3年以内に30%程度の離職が平均

高校以上の新卒者が入社して1年以内で離職する割合は約15%、3年以内で離職する割合は約30%です。

厚生労働省 新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移

数年以上のスパンで見れば、離職率30%が1つの目安になります。30%を超えているなら会社の体制に何らかの問題がある、30%を下回っているなら定着率が高く働きやすい会社と言えます。まずは離職率の目安を覚えておきましょう。

離職率の調べ方まとめ

離職率を調べる主な方法は以下の5つです。

1.四季報を見る

2.インターネットアーカイブを利用する

3.帝国データバンクを使う

4.厚生労働省の3年以内の新卒離職率の業界データを見る

5.ネットを活用する

それでは1つずつ解説していきます。

1. 四季報を見る

東洋経済から出版されている「四季報」を使って離職率を調べることができます。

四季報には各企業の平均年収・売上高・残業時間・採用のプロセス・有給消化率・3年後離職率など就職活動に役立つ会社情報が掲載されています。

このうち3年後離職率は離職率を示す貴重なデータで、入社してから3年間でどれくらいの人が辞めているのかを知れます。

たかーし

四季報には全上場会社の情報が掲載されている!2年分の独自予想も勉強になる

2. インターネットアーカイブを利用する

四季報にすべての企業の離職率が記載されているわけではありません。就職・転職したい企業の離職率データが見つからない場合、過去の検索データを調べることができるインターネットアーカイブの利用をおすすめします。

インターネットアーカイブを利用するコツは、従業員の移り変わりから従業員の定着率を判断していくことです。

まずはインターネットアーカイブにアクセスしてみましょう。

次に入社したい企業のホームページURLを入力します。すると過去から現在においてホームページが更新された回数が年・月ごとに表示されます。

企業の会社概要に従業員数が記載されていることが多いので、過去から現在までのホームページをチェックして従業員数にどんな変動があったのか調べてみましょう。

常に求人募集をしているにも関わらず、従業員数に変動が見られない会社は定着率が低い企業と判断できます。ただし、従業員数に変動が見られなくても求人募集をしてないなら定着率が良いと判断できます。

他にも従業員数が安定して増えている企業なら勢いがあり、従業員数が減っているなら事業縮小しているなど企業の内情が見えてきます。

たかーし

インターネットアーカイブで企業の変遷を探ってみるのも面白い!面接に役立つかも

3. 帝国データバンクを使う

帝国データバンクは企業信用調査で調べた情報をデータベース化して提供しています。約1700人の調査委員が日本全国の会社に出向いて情報収集しています。

帝国データバンクが調べている情報として、

・企業の倒産、創業

・社長の出身地

・企業の収益推移

・企業間取引の寿命

などがあります。帝国データバンクはインターネットだけで収集できない情報も多く取り扱っています。就職・転職したい企業のデータを購入して従業員数やその推移などを調べて従業員の定着率を調べることも可能です。

帝国データバンクのデータは有料になりますが、帝国データバンク企業情報は1社1600円から購入できます。

帝国データバンク企業情報には従業員数や純利益の推移などが記載されています。
「利益が増えているのに従業員が増えていない」、「損益に変わりがないのに従業員が減っている」などの情報があれば定着率が低いと判断できます。

インターネットアーカイブや四季報などで十分に情報が集められない場合は、帝国データバンクの情報も合わせて活用しましょう。

4.厚生労働省の3年以内の新卒離職率の業界データを見る

新卒者が入社して3年以内で離職する割合は約30%ですが、さらに細かく見ると業種別によって新卒の離職率は異なります。

下の表は高校・大学の新卒における就職後3年以内離職率のうち離職率が高い上位5産業です。参考:新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)

大学高校
宿泊、飲食52.6%宿泊、飲食64.2%
生活関連、娯楽46.2%生活関連、娯楽59.7%
教育、学習支援45.6%教育、学習支援55.8%
小売業39.3%小売業49.5%
医療、福祉38.4%医療、福祉47.0%

大学の新卒者よりも高校の新卒者の方が就業後3年以内の離職率が高めになっています。離職率が50%を超えている業界だと2人に1人が辞めていることになります。

また事業所規模でも就業後3年以内の離職率は変わります。

事業所規模大学高校
1000人以上26.5%27.4%
500~999人29.9%32.5%
100~499人33.0%38.1%
30~99人40.1%46.5%
5~29人51.1%55.6%
5人未満56.1%63.0%

事業規模が大きな大手企業ほど離職率は低く、事業規模が小さい中小企業ほど離職率が高いのが分かりますね。

中小企業の離職率が高いのは、

・給料が低い

・休日が少ない

・残業が多い

・福利厚生に不満がある

・労働量が多い

・家族経営が多い

などが挙げられます。中小企業は小規模経営が老いので企業体力が低く、家族経営の会社だと身内びいきに対する不満も溜まりやすいため、大手企業に比べて離職率が高くなる傾向にあります。

離職率を調べるときは紹介した業種別の離職率、企業規模別の離職率などのデータも参考にしましょう。

5. ネットを活用する

企業の離職率はネットを活用して調べることもできます。

たとえば、ハローワークで頻繁に求人票の出ている企業は人材が定着しない離職率が高い企業の可能性があります。

ハローワークで求人を出している会社がどの頻度で募集しているのかを知る手段として、ハローワークの窓口に行って担当者に「こちらの会社の過去の求人歴を教えてください」と伝えれば教えてもらえることがあります。

他にもネット検索で「企業名 離職率」を調べると、大手企業なら離職率の目安が表示されます。

公式に公表していなくても調査機関などが調べたデータが表示されることもあるので、まずは軽く調べてみましょう。TwitterやInstagramなどのSNSで調べてみるのもありです。

またキャリアや転職に特化したjobQを使って相談してみるのもおすすめです。たとえば、

「○○企業に転職を考えているのですが、ネット上に参考になる離職率がありませんでした。○○企業の離職率や体制について教えていただきたいです。」

このように質問すると内部事情に詳しいユーザーが離職率や参考になる内部事情などを教えてくれるかもしれません。
確実に回答が得られるとは限りませんが、答えてくれる人がいれば内部事情を知れておすすめです。

離職率の計算方法

離職率の計算

そもそも離職率とは、「ある時点で働いていた人数のうち、一定期間後に退職した人の割合」を示すものです。

離職率の計算方法は企業や機関によって定義が以下のように異なります。

・厚生労働省の雇用動向調査における離職率の計算方法

離職者数を1月1日の常用労働者数で割って100%をかける。( 辞めた人の人数 ÷社員人数 x 100 = 離職率 )

・企業で採用されている離職率の計算方法

一定期間に退職した人数を起算日に在籍していた人数で割って100%をかける。( 辞めた人の人数 ÷社員人数 x 100 = 離職率 )

計算式は同じですが、企業の場合は起算日がバラバラです。4月1日を期初めとしている企業なら起算日は4月1日になります。全従業員の離職率計算に定年退職者やグループ企業への転職者は含まれないことが多いですが、明確な基準はありません。

たとえば、3年前に入社した新入社員の離職率を計算するとして、3年前の4月1日の在籍人数が100人、3年間で10人が退職したなら離職率は10%です。

社員人数が少なすぎると参考にならない場合もあるので注意

離職率の計算は社員人数が多い企業なら参考になりますが、社員人数が少なすぎると1人の離職が離職率に与える影響が大きくなるので参考にならない場合もあります。

たとえば、5人規模の会社があったとします。うち2人が家庭の不幸や事情など止むを得ない理由で退職したとしても離職率だけを見ると「2÷5×100%=40%」と高い水準です。

500人規模の会社で200人が辞めたならブラック企業の可能性が高いと判断できますが、5人規模の会社で2人が辞めたからと言ってブラック企業とは言えません。

離職率は社員人数にも注意しながら参考にしましょう。

たかーし

数人~数十人規模の会社だと離職率はあまり参考にならない!ネットの企業情報などを参考にしよう

企業側が数字が良く見える離職率の見せ方をしていないか別の角度から離職率を計算してみるとベター

企業の離職率計算方法は明確な基準がないと説明しましたが、曖昧な盲点をついて企業側が数字が良く見える離職率の見せ方をしているケースがあるので注意してください。

たとえば、求人票や求人広告に「離職率0%」と記載されているとします。
定着率が高く居心地がいい会社だなと感じますが、離職率0%が何を基準に算出されているのか分かりません。ここ1カ月の離職率を記載しているかもしれないわけです。

50人希望の会社で1年に10人の社員が辞めたら離職率は20%ですが、10人の社員が辞めた時期が後半期だったとしたら、前半期に焦点を絞った離職率は0%になります。

離職率0%と書いても嘘にはなりません。

人手不足の会社はすぐにでも人材が欲しいので、離職率をできるだけ低くして求職者を増やす狙いがあります。

離職率は企業のブラック度を測るいい指標の1つですが、企業が公表している離職率が正しいとは限らない点に注意してください。

離職率はどこからが高い?業界によって違いもある

離職率はどこからが高い?業界によって違いもある

離職率は、その企業における働きやすさの参考になります。ここでは離職率を参考にするポイントを解説します。

業界の平均より離職率の高い会社は離職率が高い

「厚生労働省の3年以内の新卒離職率の業界データを見る」で紹介したように、業界によって離職率は異なります。

業界の平均より離職率が高い会社はブラック企業や働きにくい企業、平均より離職率が低い会社は比較的働きやすい会社と言えます。

たとえば、宿泊・飲食業界では大学新卒者のうち約50%が3年以内に辞めているというデータがあります。
ある宿泊業界の企業の離職率が40%だった場合、平均的な離職率30%から見ると高いですが、業界で見ると50%をかなり下回っているので定着率が高いと言えます。

離職率の平均は30%ですが、参考にするときは就職・転職したい企業の業界における離職率を参考にしてください。

たまたまリストラの多い年だった可能性もあるので数年単位で判断するとベター

企業によっては事業縮小や景気の悪化などから、ある年にリストラが集中することもあります。
リストラで退職した人が離職率の計算に含まれると、その年だけ離職率が高くなります。

これだと離職率は参考にならないので、数年単位で離職率を見て判断しましょう。

数年単位で離職率を見る場合は年ごとの離職率の変化にも注目してください。
1年ごとの離職率の変化が分かれば、離職率が高い年に「リストラが集中した」ことが分かります。

入社前は離職率が低くてもその後の景気が悪くなって離職率が高まる可能性もあるので注意

離職率が低い企業に入社できても、そのときは「たまたま離職率が低かっただけ」というケースもあります。今後、景気が悪くなって離職率が変化する可能性もあるので注意してください。

また社会の変化に伴い、離職率が持つ意味合いも変わってくることが考えられます。

従来、日本企業の働き方はひとつの企業で長く勤め上げる終身雇用制度が主流でした。
今は人生100年時代やグローバル化の加速によって、ひとつの企業で長く働くのではなく、専門知識やスキルなどを習得して、時代に合わせて自分の能力が活かせる企業に転職するのが主流になりつつあります。

近年の傾向として企業にネガティブな側面がなくても、自分らしい働き方を求めて転職に踏み切る人が増えています。
つまり、離職率が高くてもその企業がブラック企業や問題がある企業とは限らないケースが増えるかもしれないのです。

そうなると離職率だけで企業の評価や価値が判断できなくなります。離職率の数字に翻弄されるのではなく、時代に合わせて数字が持つ意味も考えていく必要があります。

離職率の調べ方まとめ

離職率は、四季報・インターネットアーカイブ・厚生労働省の3年以内の新卒離職率の業界データ・帝国データバンク・ネットなどを活用して調べることができます。長く働くなら離職率が低い企業を選びましょう。

業種や社員数などによって離職率が異なるので、自分が入社したい企業の業種・社員数の離職率を参考にしてください。

また時代の変化と共に転職が増えたら、離職率も必然的に上があります。数字だけでなく、社会の状況や離職が増えている背景なども見つつ転職の参考にしましょう。