多忙で人間関係から待遇まで悩みがつきない介護職で働いているすぐにでも仕事を辞めたい!と感情的になってしまうことはありますよね。
体や心に大きなストレスを抱え、無理をして仕事を続けるのはおすすめできません。
しかし、状況によっては考え方や行動することで現状を改善できることもあります。
後悔しないためにも、この記事では介護職を続けるメリット・デメリットを知った上で、今の仕事を辞めたい理由に向き合えることを目指しました。
この記事を読んで介護職を辞めることが自分の未来にとって良い方向へすすむのか考えられる第一歩を踏み出してみてください。
介護職を辞めたい人は改めて介護職の良いところと悪いところを見直そう
介護は高齢者が安心して生活できるように、介護保険施設や老人ホームなどにおいて高齢者のお世話や相談をする仕事で、高齢化社会にともない介護職の需要はどんどん増えています。
介護と言ってもさまざまな仕事の形態がありますが、介護職を辞めたい人は改めて介護職の良いところと悪いところを見直してみましょう。
介護職の良いところ
介護職を辞めたい!と考え始めると、仕事に対してネガティブなイメージが強くなります。
しかし、これまでしてきた介護の仕事の中で良かったことや為になったこともあるのではないでしょうか?
まずはこれまでの仕事を振り返りながら、介護職の良いところについて考えてみましょう。
介護職の良いところとして、やりがい・融通がききやすい・求人が多い・介護スキルが身につくなどがあります。それぞれの良いところについて解説します。
やりがいがある
介護の仕事は人とのつながりが深く、お世話をする仕事なので人から感謝される機会が多くあります。
「最初は挨拶をしても返事が返ってこなかった利用者さんが、何度も話しをしているうちに心を開いて話してくれるようになったのがうれしい!」
「ありがとうと言われる度に、誰かの役に立てていると感じる!」
「利用者さんの家族にも感謝の言葉をたくさんもらって前向きな気持ちになれる!」
このように、介護の仕事をしていると人とのつながりの中でやりがいを感じることが多くあります。
仕事がしんどいなーと思いながらも、感謝されると「頑張ろう!」という気持ちになった経験もあるのではないでしょうか。
勤務時間の融通をきかせやすい
介護の仕事は働く場所によって、勤務体制もかなり異なっています。
宿泊できる老人ホームやグループホームだと夜勤やシフト制、デイサービスだと平日の9:00~17:00勤務のように働く時間が決まっています。
勤務時間を固定したいならデイサービス、昼間の時間を有効に活用したいなら老人ホームやグループホームなどライフスタイルに合わせた仕事の選び方ができます。
パートの募集も多く短時間の勤務も可能なので、子育てと両立しながら働くこともできます。
介護の仕事は大変と言われますが、週休2日で残業がほとんどない職場も多く、勤務体制については他の仕事に比べてもメリットは多いです。
人手不足なので転職しやすい
介護職は慢性的な人手不足に陥っていると言われていますが、高齢化社会によって介護を必要とする人が増え続けている一方で、少子化によって介護を担う若者が減り続けていることから今後も人手不足がより深刻になると予想されます。
その一方で人手不足になっている職場が多いことから、求人情報も多く転職のハードルはかなり低いです。
介護職の経験やスキルがあり、仕事を選ばないのであれば、仕事が見つからないということはほとんどありません。
また求人情報が多いことから、「仕事を辞めてもすぐに他の仕事が見つかる!もっといい条件のところを探そう」と考える人も多く、他の仕事に比べて離職率も高くなっています。
離職率が高くなることで新たな求人が増え、よりよい条件で働ける職場を探して新たな転職者が増えるという循環が起こります。
転職しやすいのは介護職ならではのメリットと言えるでしょう。
身内の世話をするスキルが身に付く
介護の仕事は、身内のお世話が必要になったときに経験が活かせます。
介護の経験がないと、いざ身内に介護が必要になったときに慌てます。
また介護サービスは多様化が進んでいます。介護の仕事経験があれば、身内の介護はもちろん施設に入所させる必要性の判断や介護サービスの選択などにも役立ちます。
介護と言っても人によって必要な介護は異なりますが、さまざまな要介護者と関りを持つことによって、身内に要介護者が出たときに「どんな対応をしたらいいのか」イメージしやすいメリットもあります。
介護職の悪いところ(辞めたくなる理由あるある)
介護職は離職率が高いですが、その要因となっているのが就業条件です。
ここでは介護職のデメリット(辞めたくなる理由あるある)をこまかく紹介していきます。
人間関係のつらさ
現役介護職員200人に行ったアンケートで、介護職員の約80%に人間関係の悩みがあるという結果が出たように、介護業界では多くの人が人間関係に悩みを持っています。
人間関係の原因としてあるのが、
・同じ現場の職員
・介護施設の利用者
・介護施設の利用者家族
の3つです。現場の職員は仕事に対する考え他の違いや悪口、派閥、上司の高圧的な対応など、他の仕事にも多くみられる人間関係のトラブルです。
利用者や利用者家族との悩みは介護職特有ですが、「暴言を吐かれる、わがままを言われる、セクハラを受けた」など悩みの原因はさまざまです。
給料がやすい
「介護職=給料がやすい」というイメージを持っている人は多いと思います。
全産業の平均給与額が約30万円であるのに対して、介護の平均給与額は約24万円とかなり低いのが分かります。
介護の給料が低いのは、給料のベースとなる介護保険制度による介護報酬が少ないためです。どれだけ頑張っても事業所が儲けられる金額は決まっています。
事業所の規模を大きくしても、結局は人件費が多くなるので個人の給料大幅アップにはつながりません。
人手不足で忙しすぎる
介護職は離職率が高いため、職場によっては常に人手不足に陥っているところもあります。
人手不足になっても施設の利用者さんが減るわけではないため、従業員で足りない人手をカバーしなければなりません。
通常に比べて2倍、3倍の業務が必要になるわけですから仕事もそれだけ忙しくなります。
仕事が忙しくなると心に余裕がなくなり、従業員同士の関係がピリピリすることや、利用者さんへのあたりが強くなり、より人間関係が悪化する悪循環に陥ることもあります。
体力的に限界
介護職は以下のような仕事内容から体力的な負担が大きいと言われています。
・立ちっぱなしの仕事
・介護者の移動で体力を使う
・入浴介助がきつい
・夜勤があると体への負担が大きい
職場や仕事内容によって体の負担は異なりますが、出勤してから退勤するまでずっと動き続けなければならない仕事もあります。
体力だけならいいですが、要介護者にはさまざまな人がいて、わがままを言われることや暴言を吐かれることもあります。
体力的な負担が大きい上に精神的な負担もかかり、「明日仕事に行くのがツライ」、「仕事を辞めたい」とどんどん気持ちが追い込まれている方もいるのではないでしょうか。
将来が心配
体力的、精神的な負担も若いうちなら勢いで乗り越えることができます。
しかし、10年後、20年後の自分をイメージしたときに、今の働き方が通用するのか不安に感じる人もいるでしょう。
介護職は今後も人手不足が加速すると懸念されており、仕事内容も今よりきつくなる可能性も無視できません。
仕事に見合った給料がもらえるならいいですが、高齢化が進んで福祉サービスにかかる税金負担が大きくなることは目に見えていて、給料が増える見込みもありません。
介護職の漠然とした将来の不安を感じ、仕事を辞めたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
経営方針・運営が自分と合わない
事業所の経営方針、運営が合わないと感じるのも、介護職を辞めたい理由の1つになっています。
介護の仕事をしている方の中には、「利用者さんに喜んでもらいたい」、「少しでも社会貢献がしたい」という強い気持ちを持って働いている人もいるでしょう。
しかし、経営者は事業を行って利益を得ることを重視しているケースも多く、従業員と経営者では仕事に対する考え方が異なっていることも珍しくありません。
経営者なので仕方がないと割り切れる場合もありますが、
・人を人として見ない姿勢
・利益重視で利用者さんに負担をかけている
・従業員を従業員だと思っていない
など、あまりにも経営者と従業員の仕事に対する考え方が違っていると、働くことが辛く感じて将来も見えなくなります。
介護職を辞めたい人がとれる工夫
介護職を辞めたいと思ったら、すぐに辞めてしまうのではなく辞めたい理由を整理して対策を考えましょう。十分に考えずに転職をすると、同じような状況を繰り返してしまいます。
ここでは、介護職を辞めたい人がとれる工夫について紹介します。
現場の待遇や環境を改善するように上部へ相談する
介護職を辞めたい理由が、
・人間関係
・経営方針
・人手不足で大変
などの理由であれば、上司に相談をすることで状況が改善される可能性もあります。
人間関係であれば担当場所を変えてもらう、経営方針であれば仕事に対する思いを伝える、人手不足で大変なら採用に力を入れてもらうなどの対応をしてもらえます。
もし上司が相談に乗ってくれないのであれば、経営者に直接相談してみるのもありです。
ただし、経営者に相談するなら先に必ず上司に相談しておきましょう。
先に経営者に相談することは、上司からすると「部下の管理ができていない上司」とレッテルを貼られたような気持ちになります。
待遇が改善しても、上司との関係がぎくしゃくして新たな悩みが生まれるかもしれません。
別の業種へ転職する
介護職を辞めたい理由が、
・介護職の将来が不安
・体力、精神的に厳しい
などの理由であれば、介護職でこのまま働き続けても問題が改善されない可能性があるため、介護職から他の業種に転職を検討するのもありです。
介護職から違う業種に転職するメリットとして、
・体力的、精神的な強みがある
・いつでも介護職に戻りやすい
・今よりも収入が増える可能性が高い
などがあります。
介護職は人手不足で仕事に困ることはほとんどなく、他の仕事を経験した上で自分には介護が合っていると思えば、また介護職に戻ってくることもできます。
介護職しか経験したことがない!という方は、転職して他の業種を経験してみるのも良いかもしれません。
より良い待遇の介護職へ転職する
介護職に不満がなく、給料や待遇に不満があって仕事を辞めたい場合は、より良い待遇の介護職に転職するのも選択肢の1つです。
待遇については基本給だけでなく、
・残業代の有無
・夜勤手当
・役職手当
・ボーナスの有無
なども合わせてチェックしておきましょう。
20~30代でも管理職を募集している介護職は多く、管理職として転職すれば1~3万円ほどの役職手当が給料に上乗せされることもあります。
また夜勤がある職場は、夜勤手当が1回の夜勤あたり3000~8000円ほど上乗せされるため、日勤のみの職場に比べて給料は多くなります。
他に残業代が出ることやボーナスの支給があることなども条件に、今よりいい待遇の職場を探してみるのもよいでしょう。
可能なら転職先を見つけてから辞めよう
介護職から介護職の転職は、求人が多く他の業種に比べると転職のハードルは高くありません。
仕事を辞めてから新しい仕事を探し始めても、すぐに新しい仕事が見つかることもあるでしょう。
しかし、介護業界は横のつながりが意外と深く、同じ地域で職場に迷惑をかけるような辞め方を繰り返していると悪評が広がるリスクもあります。
そうならないためにも、きちんと順序を立てて今の職場に迷惑をかけない辞め方を意識しましょう。
また転職先を十分に精査せず、転職をしてすぐに辞めてしまうことがないように、在職中から時間をかけて新しい仕事を探し、次の仕事が決まった状態で離職の準備を進めていくのが望ましいです。
次の仕事が決まってもすぐに今の仕事を辞めるのではなく、新人への引継ぎ準備も含めて最低でも仕事を辞める3か月前には会社に辞める旨を伝えましょう。
まとめ
介護職で働く人なら、一度は仕事を辞めたいと考えたこともあるでしょう。
しかし、介護の仕事が嫌というよりも、人間関係や待遇、将来の不安などが介護職を辞めたい理由になっています。
辞めたいと思っても勢いで辞めてしまうのではなく、仕事を続けるメリットやデメリットを考えて辞めたい理由を整理してみましょう。内容によっては、上司に相談するだけで解決する場合もあります。
それでも転職がしたい!というのであれば、転職に失敗しないためにも転職エージェントのサービスを利用してプロのアドバイスをもらいながら転職活動を進めていきましょう。