自衛隊を辞めたい気持ちで葛藤している。でも身の回りの人以外からの情報が少ない。どういう選択肢があるのだろうか。
そんな方へ向けて証券会社として年収1000万円を継続して超えていた筆者が民間企業出身の視点から解説。
自衛隊を辞めたいけど、辞めても大丈夫かな?と悩んでいる20代の自衛隊の方もいるのではないでしょうか。
自衛隊を辞めたいけど、辞めたときに将来が不安!という理由で辞めることができない方もいると思います。
結論から言いますと、自衛隊は民間と違って特殊な業務を行うこともあります。もし転職するのであれば特殊な業務を行なった経験を活かせる企業を中心に転職先を探してみると良いでしょう。
そこでこの記事では、20代で自衛隊を辞めたい方向けに、将来への影響や民間との違いなどを解説しました。ぜひ参考の一つとして読んでみてください。
20代で自衛隊を辞めても就職先には困らない
一般的に自衛隊の転職は難しいと言われています。
民間のサラリーマンが転職する場合、同業者に転職してキャリアアップできますが、自衛隊には日本に同業の会社がありません。
民間企業のほとんどは利益を求めて業務を行いますが、自衛隊は国の防衛が主な業務なので利益を追求するという概念もないです。
民間は民間の働き方を知っている人を雇った方が都合もいいので、民間に比べると自衛隊の方が転職しにくくなっています。
しかし、20代なら自衛隊から民間への転職はそこまで影響はありません。
20代はまだまだ転職市場において売り手であり、民間に勤めていたとしてもキャリアを築けていないため、自衛隊から転職しようと民間から転職しようと大きな差がないからです。
20代で自衛隊を辞めても、転職先が見つからない心配はしなくても大丈夫です。
20代は転職先がたくさんある!仕事が見つからない不安は捨てても問題なし
自衛隊と民間企業との生涯収入の違いについて
自衛隊の給料は安い!と感じている方もいるかもしれませんが、一般の公務員に比べると多く支給されています。
以下の表は、自衛隊・自衛隊幹部・民間企業の年齢別の平均年収です。
准曹自衛官 | 幹部自衛官 | 民間企業 | |
20代 | 325万円 | 440万円 | 348万円 |
30代 | 525万円 | 670万円 | 444万円 |
40代 | 670万円 | 885万円 | 510万円 |
50代 | 750万円 | 980万円 | 613万円 |
参考
20代は准曹自衛官の平均年収がもっとも低いですが、30代以降は民間企業の平均年収の方が高くなっています。
これとは別に2000万円以上の退職金が入るなど、お金の面の待遇は民間企業に比べて自衛隊の方がいいです。
20代で自衛隊を給料が低いという理由だけで辞めたいと考えているなら、今は給料が低くても昇給して民間企業の平均年収を超えるようになるので、辞めてしまうのはもったいないかもしれません。
もし転職する場合はどのような分野と相性が良いのか
20代の自衛隊員が転職するなら、どんな分野の仕事と相性がいいのでしょうか。
自衛隊は肉体的にも精神的にもきつい仕事なので、自衛隊の経験があるだけで「タフな人材」と評価されます。
このタフさを活かせる分野との相性が抜群です。
ここでは、自衛隊からの転職でおすすめの職種を3つ紹介します。
やる気次第で給料が上がる営業分野
自衛隊は上下関係が厳しい職種として知られています。
この上下関係で身につけたコミュニケーション能力は転職でも大いに役立ちます。
たとえば、
・社内でのチームワークを円滑にする
・強い精神力で飛び込み営業をする
・上司と良好な関係を築ける
などです。
自衛隊の経験があるというだけで、会社からは上記のような期待をされます。
また営業という仕事は利益を追求する職種でもあるので、営業で学んだことを活かして次にステップアップすることもできます。
工具を扱う技術職
自衛隊にもいろいろな仕事がありますが、技能工のように技術職がメインだった場合は工具を扱う技術職への転職がおすすめです。
手先の器用さを活かして図面を正確に読み取る力や、緻密な作業によって取り組める集中力などを活かせる職種です。
また自衛隊で通信関係の仕事をしていた場合、コンピュータープログラムの知識や技術を有しています。
これらの知識や技術を活かしてエンジニアとして活躍することも可能です。
自衛隊で技術関係の仕事をしていた場合は、その仕事内容に近い職種を選べば好条件で転職できる可能性もアップします。
ドライバーは将来的に自動化される可能性あり
ドライバーは、運送業界でトラックを運転して荷物を届ける仕事です。
自衛隊には専用の自動車訓練所があり、大型自動車免許を取得することができます。
21歳以上で普通免許取得から3年経過し、取得できない大型自動車免許を高卒ですぐに取れるのは自衛隊の特権です。
またドライバーは体力と忍耐力が必要な仕事で、重たい荷物の積み下ろしなどもドライバーが行わなければなりません。
自衛隊とトラックドライバーの親和性はかなり高く転職先の候補の1つに挙がるでしょう。
ただし、ドライバーは将来的に自動化されると言う話しもあるので、長いスパンで見ると自衛隊で働き続ける方が安定します。
若手の自衛隊出身を好んで採用している企業もある
自衛隊は、制度の関係から定年制の場合は50代半ば、任期制は20~30代半ばで退職します。
自衛隊退職者は働き盛りであることが多く、技能や精神力に加えて、職務遂行や教育訓練によって培われた企画力・指導力・実行力・協調性・責任感などに優れています。
この素質や能力はさまざまな分野の会社から評価が高く、若手の自衛隊出身を好んで採用している業者もあるほどです。
特に警備や運送業などは、退職自衛隊官を好んで採用しているところもあり、一般企業からの転職よりも転職しやすい場合があります。
自衛隊は在職中の転職活動が禁止されているため、民間企業のように再就職活動を行ってブラッシュアップしていくことはできません。
スムーズな転職を目指すなら、若手の自衛隊出身を好んで採用している企業で働くことも視野に入れておくとよいでしょう。
自衛官経験者を採用している企業はたくさんある!退職自衛官募集で調べてみよう
自衛隊を辞めることは逃げではない
20代で自衛隊を辞める理由は人によってさまざまだと思いますが、だいたい以下のどれかに当てはまるのではないでしょうか。
・訓練がきつくて体力的に辛い
・教育中の娯楽の制限がきつい
・残業ばかりできつい
・災害派遣で散々な目に遭った
・給料や待遇が悪い
・人間関係
・他にやりたいことがある
この中でも、特に多いのが体力的・精神的にきついという理由です。
体力や精神を理由に辞めてしまうことに対して、「逃げている」と感じる方もいるのではないでしょうか。
しかし、自衛隊を辞めることを逃げと思う方はほとんどいません。
それほど自衛隊の仕事はハードで精神的にもきついです。
その過酷な環境でこれまで働いてきたわけですから、むしろ自衛隊として働いてきた期間は短くても逃げより評価されることの方が多くなります。
「自衛隊を辞めて転職したい」という気持ちが本気なら、逃げと思わずに自分に合った仕事を見つけましょう。
自衛隊はお金をあまり使わないため年収がひとまわり低くとも自衛隊の方が経済的に余裕を持てやすい点は注意
20代の自衛隊は、一般企業に勤めている20代に比べると平均年収はやや低めです。
周囲の人の話しを聞き、給料が低いと感じて辞めたいと思う方もいるでしょう。
しかし、自衛隊は任務に応じた細かい手当があることや、隊舎で生活する隊員は住居費がかからないなど、給料以外の面での待遇は一般企業よりも上です。
給料以外の待遇も含めて考えると、自衛隊の年収が民間企業よりひとまわり低くても経済的には自衛隊の方が余裕を持てます。
自衛隊の給料は一般公務員よりもいい!無駄遣いしなければ経済的な心配はほぼ不要
厳しい命令をもらう自衛隊と主体性が問われる民間企業とでは求められている感覚が異なることも
自衛隊を辞めて民間企業に転職するときに気をつけたいのが、求められることが自衛隊と民間企業では異なることです。
自衛隊は厳しい命令をもらい、その指示に従って動くのが基本的な仕事内容になります。
民間企業は会社の利益を増やすために、従業員1人1人が主体的に動かなければなりません。
自衛隊から民間企業に転職する場合、このようなギャップに注意してください。
20代の未経験者に求人の多い転職エージェント
もし自衛隊の就職の援助の中の求人などで相性が合わないのであれば転職エージェントを利用するのも一つの選択肢です。
20代であればポテンシャルとして未経験者採用している企業は少なくありません。
リクルート系列の転職エージェント「就職Shop」や20代の経歴に自信のない人向けの「ハタラクティブ」などを活用すれば少なくとも体力面で20代の自衛隊出身者はかなり有利ですので最低でも民間企業での正社員という条件くらいであればどこでも見つかることでしょう。
まとめ
20代で自衛隊を辞めて転職するのはありです。
自衛隊の仕事は体力的にも精神的にもハードなので、無理をして働き続けると健康にも影響が生じる可能性があります。
ただし、生涯年収や待遇はかなりいい仕事なので、給料を理由に20代で自衛隊を辞めてしまうのはもったいないです。
また自衛隊と民間企業の働き方はまったく異なります。
自衛隊の働き方が民間企業で通用するわけではないため、自衛隊と民間企業の違いをしっかり把握した上で転職活動を進めることが大切です。