ただ無難に仕事をこなしてきたと思うけれどやりがいは正直感じていない。
人間関係は悪くないし居心地も他の会社より良いと思うけれど年収はもうちょっとどうにかしたいなあ
30代になると一通り仕事に慣れ、20代に比べると余裕が出てきます。その一方で仕事が思うようにいかず辞めたいと考える人も少なくなく、転職しようかどうか悩んでいる方もいるでしょう。
30代は今の仕事を続けるか、転職するかを考え始めるタイミングでもあります。
30代はどんな仕事の悩みを抱えやすいのでしょうか。今回は、30代によくある仕事の悩みランキングをもとに、それぞれの対策方法を解説します。
30代によくある仕事の悩みランキング
転職サイトのdodaによると30代の仕事の悩みランキングは以下のようになっています。
★1位 | 今の仕事にやりがいを覚えず他にやりたい仕事がある | 13.7% |
★2位 | 会社の将来に不安を覚える | 13.5% |
★3位 | 給料が不満・足りない | 11.3% |
4位 | 残業が多い | 7.1% |
5位 | 専門スキルを磨きたい | 5.4% |
6位 | U・Iターンしたい | 4.1% |
7位 | 幅広い知識を身につけたい | 4.0% |
8位 | 会社の評価方法に不満がある | 3.7% |
9位 | 業界の先行きが不安 | 3.3% |
10位 | 市場価値を上げたい | 3.3% |
仕事に慣れてくる30代は、「今の仕事が自分に合っているかどうか悩む」、「会社の現状が見えてくることから将来に不安を覚える」などの悩みが上位を占めています。
30代は結婚、出産、教育、マイホームなどのライフイベントがあるので、3位にランクインしているような給料の悩みについても出てきます。5位や10位の専門スキルを磨きたい、市場価値を上げたいという悩みも、自分の価値を上げて給料アップを目指すことにつながります。それではランキングごとに対策を見ていきましょう。
1位 今の仕事にやりがいを覚えず他にやりたい仕事がある
仕事に慣れてくると、今の仕事が自分に合っているかどうか考えるようになります。仕事やプライベートで他の業種の人と交流するようになると、今の仕事が合ってないと感じることや他にやりたい仕事が出てくることもあります。
やりがいが感じられずに仕事を辞めたいのと、他にやりたいことがあって仕事を辞めたいのでは対策方法も異なります。それぞれのケースごとに対策を紹介します。
やりがいが感じられないときにやりたいこと
仕事にやりがいが感じられないと、「何のために仕事をしているんだろう」、「このままでいいんだろうか」などの不安や不満が出てきます。
やりがいを持って仕事できるのが理想ですが、他にやりたい仕事がないならやりがいだけで辞めてしまうのは勿体ないです。
私もそうですが、小さい頃から夢や希望を持つことが大切だと教育された人は多いと思います。もちろん夢や希望を持つことは大事で、それが仕事につながればやりがいを感じられるかもしれません。
しかし、仕事は働いてお金をもらうことが目的であり、そもそもラクして楽しく働いて稼げるものではありません。仕事に抱いていた夢や希望が大きければ大きいほど、仕事で挫折したときの落差は大きいものです。そしてやりがいも感じられなくなります。
やりがいが感じられないなら、仕事の中で小さな目標を作ることや給料アップを目標にするなど、仕事のモチベーションを上げるきっかけを作りましょう。
私は証券会社で営業の仕事をしていましたが、「営業成績トップ3に入る」、「年収を50万円上げる」などの目標を掲げることで前向きに仕事に取り組めました。
他にやりたい仕事があるときにやりたいこと
他にやりたい仕事がある場合、その仕事をやってみないと自分に合っているかどうかの答え合わせはできません。転職をしてやりたい仕事をしなければ、その悩みが解消されることはないでしょう。
30代になって仕事にも慣れてくれば、他にやってみたい仕事が出てくるのは自然です。
ここで考えて欲しいのは、他にやりたい仕事が「心の底からやりたい仕事なのか?」、「その仕事をずっと続けられるのか?」、「今の仕事ではダメなのか?」などです。
30代は転職市場における売り手市場なので、給料・環境が今より悪くなってもいいなら未経験でもやりたい仕事を優先して転職することはできます。40代、50代になって「あのとき転職しておけばよかった」と後悔するくらいなら、思い切ってチャレンジすることをおすすめします。
私も大手証券会社に転職したり、個人事業主に転職したりしましたが、転職してよかったと感じています。もちろん努力はたくさんしました。
「人間関係が面倒」、「仕事が単純作業でつまらない」など、今の仕事に対する不満で他の仕事に目が向いているなら転職しても同じことを繰り返します。転職せずに今の仕事の中で目標を作ってやりがいを作ることをおすすめします。
2位 会社の将来に不安を覚える
会社の現状が見えてくる30代になると、会社の将来に不安を感じる人も増えます。どんな会社でも倒産するリスクがある以上、会社の将来が不安に感じる人は正常な心の持ち主です。
漠然と不安を抱えながら働くのではなく、会社が倒産しても対応できるようにしておくのが理想です。また会社の業績を改めて確認しておく必要もあります。
ここでは会社の将来に不安を覚える30代の対策方法を紹介します。
本当に将来は不安?会社の業績やポートフォリオなどをもう一度確認してみよう
今の会社が将来も存続できるかどうかは、過去から現在までの会社の業績の推移から判断ができます。
会社の業績を把握する方法は以下のようになります。
「上場企業」
・有価証券報告書:企業の開示書類
・決算短信:決算内容の要点をまとめた書類
・会社四季報:国内の上場企業の情報を収録した雑誌
・会社財務カルテ:主要財務項目の実数値や編集部が算出した分析値
「非上場企業」
・決算公告:定期総会終了後に公告される財務内容
・会社四季報、未上場会社版:国内の上場企業の情報を収録した雑誌
・各企業のホームページ
上場企業は公開されている情報が多いので会社の業績やポートフォリオを確認しやすいですが、非上場企業は公開されている情報が少なく企業によっては業績の把握が難しいかもしれません。
非上場企業は業績が悪化すると、「給料が少なくなる」、「福利厚生がなくなる」、「経理が退職する」、「希望退職者を募る」など倒産の前兆が見られます。反対に給料が増えて福利厚生が手厚くなっているなら業績が良くなっていると考えられます。
倒産の前兆があるなら早めの転職活動をおすすめします。
会社が倒産してしまっても良い実績をつくる
するかどうか分からない会社の倒産に不安を持つくらいなら、倒産しても他の会社でやっていける知識やスキル、実績を作る方が現実的です。
実績については同業種や同職種の転職をする上で役立つので、自分の強みを作ることを意識して仕事に取り組みましょう。
たとえば、私は営業成績で結果を残すことにこだわって仕事に取り組み、社内TOP3位以内の営業成績を何度も残しました。転職時のアピールにもなりますし、在職中は給料や賞与アップで好待遇になります。
吹「不満ばかり口にしても成長はしない!目の前の仕事に全力を尽くすことが自分のためになる」
同業種x同職種で将来性の高く待遇の良い職場があれば転職はアリ
私は高校卒業後に小規模の証券会社に入社し、そこで5年ほど経験や実績を積んで大手証券会社に転職しました。
転職したのは給料の天井が見えたからですが、大手証券会社の方が資金力もあって新規事業を展開しやすく将来性があります。
高卒だと大手証券会社に入社することはできませんでしたが、地域密着型の証券会社で実績を残したことでステップアップ転職を実現しました。
今の会社の将来に不安があるなら、私のケースのように規模が大きく将来性のある企業に転職するのもありです。ただし、今より条件のいい会社に転職するなら、アピールできるだけの実績は必要になります。
自分のスキルや実績がどれだけアピールできるかどうか自分では判断が難しいものです。転職エージェントを利用すれば、コンサルタントが自分の市場価値を客観的に判断して転職支援をしてくれます。
転職エージェントは無料相談だけでも可なので、今より待遇がいい会社に転職できるかどうか相談してみましょう。
吹「転職エージェントは求職者の心強い味方!転職を検討するなら気軽に相談してみよう」
3位 給料が不満・足りない
ライフイベントが増える30代はお金がたくさん必要になるので、今の給料が足りない・不満という人も増えます。
私も転職のきっかけは給料でしたが、私の場合は入社して順調に給料が上がっていたものの、5年目くらいから給料の天井が見え始めたことが転職の理由です。
最初から転職を決意したわけではなく、転職エージェントに相談をしながら転職活動をしていると大手証券会社からスカウトがあって転職に至りました。
転職した当初は新人扱いになるので、前職よりも一時的に給料は下がりました。それから実績を積んで、転職して2年くらいで前の会社よりも多くの給料をもらえるようになりました。
私のように経験や実績を武器に転職で給料アップを目指す方法もあれば、今の会社で管理職を目指して給料アップを目指す方法もあります。また上司に相談をして給料を上げてもらえるケースもあります。
いずれの場合も給料を上げてもらうためには、他の社員にはない自分の強みや実績が必要です。
実績は簡単に積めるものではないので、30代のうちに「部下の指導に力を入れて管理力を高める」、「営業なら成績を残す、技術なら成果を出す、のように仕事で結果を出す」ことなどに力を入れると給料アップの選択肢は増えます。
給料は仕事の対価!成果を出さないと給料は上がらない
社内でいくらまで目指すことができて30代のうちに目指せるものなのか
私は勤めていた会社で給料の天井が見えたのは、これまでと同じように結果を出していたのに給料が上がらなくなったタイミングです。
会社は1人が頑張っても、その頑張りがすべて自分の給料に反映されるわけではありません。仕事ができない他の社員の給料もカバーしなければならないのです。
給料が増えている間は不満がなかったのですが、給料が上がらなくなった途端に不満が出て転職に至りました。
給料に不満を抱えている人によって事情は異なると思いますが、
・入社して給料がほとんど上がってない
・給料が上がらなくなった
という人は、これからも給料が上がる可能性は低いので転職を視野に入れた方がいいです。
一方で給料が順調に上がっている人は、仕事が会社に評価されている証なので天井が見えるまでは働き続けることをおすすめします。
社内でどれくらいの給料を目指せるかどうかは、会社が公表しているわけではないので把握は難しいです。可能なら上司にさりげなく「今の会社でどれくらいの年収を目指せますか?」と聞いてみるのもよいかもしれません。
残業が多い
まず日本の労働時間は規定があり、36協定によると残業ができるのは月45時間・年360時間となっています。これ以上の残業はできないことになっているので、労働基準監督署や全労連労働問題ホットラインなどの機関に相談することをおすすめします。
36協定が定める残業時間以下でも仕事によってはかなりつらいと感じることもあるでしょう。会社に訴えかけて自分の意見が通ったとしても、自分1人が定時に帰宅して他の社員が残業するような環境だと出社しにくいですよね。
残業を減らすなら自分1人で会社に訴えかけるのではなく、他の社員も巻き込んで行う必要がありますが、残業代をあてにしている社員もいるので全員が一丸になるのは難しいでしょう。
仕事を効率化して残業時間を減らすのが対策としては有効ですが、いろいろ試した上で残業に悩みを持っている人も多いと思います。残業時間が辛い場合は、残業が少ない会社に転職するのもありです。
これまでの経験が活かせる同業種・同職種への転職なら、給料や待遇などの条件をあまり落とさずに転職できます。転職エージェントを利用すれば、残業が少なく自分の実績を評価してくれる企業の求人をピンポイントに探してもらうことも可能です。
意味のない残業はお金を捨てているのと一緒。
専門スキルを磨きたい
「今の会社で退職まで働く自信がない」、「今の会社が倒産しても困らないようにしたい」、などの理由で専門スキルを磨きたいと悩んでいる30代も少なからずいます。
専門スキルと言っても、今の仕事で習得できるスキルもあれば、今の仕事とまったく関係のないスキルがあります。専門スキルを磨きたい人の中には、今の仕事と違う分野で専門スキルを磨きたいという人もいるでしょう。
たとえば、営業の仕事をしている人は仕事を通して営業スキルが身につけられます。それ以外に医療分野の専門知識を習得すれば、「医療分野に強い営業マン」としてアピールできます。スキルの掛け算とも言われますが、専門スキルを身につけることで転職に有利になります。
専門スキルは、「通信教育を受けて資格を取得する」、「副業して違う分野の仕事のスキルを身につける」など、空いた時間を使って磨くことも可能です。
30代はまだまだ体力があります。悩む前に行動しましょう。
U・Iターンしたい
30代になると、家族やワークバランスなど将来を深く考えることも増え、生まれ育った地元にU・Iターンして働きたいと考える人も増えます。
U・Iターンのメリットとして以下のようなものがあります。
・ゆとりある職場で業務にあたれる
・家族との時間が増やせる
・仕事に追われることが少ない
・通勤が楽になる
その一方で、以下のようなデメリットもあります。
・給料が下がる
・求人が少ない
U・Iターンしたいという悩みがあるなら、まずは家族に相談してみることをおすすめします。
家族が納得してくれたら、転職エージェントを利用してU・Iターンで転職できる企業があるかどうか探しましょう。転職できる企業があって、給料や待遇の面で不満がないなら、転職に向けて準備を進めましょう。
転職エージェントは在職中でも利用できるサービスなので、希望する転職先が見つかるまで離職する必要はありません。
若くて経験がある30代はU・Iターン転職のハードルが低い!悩まず前向きに考えてみよう
市場価値を上げたい
転職の成功率は市場価値と深い関係があります。市場価値とは、簡単に言うと社会からどれだけ必要とされる人材かどうかです。
市場価値が高い人材なら、企業も好待遇の条件を提示して採用します。
30代で転職の可能性を考えるようになると、自分の市場価値を上げて少しでも有利に転職したいと考えます。
そもそも市場価値はどんな要素で成り立っているのでしょうか?ハーバード大学のロバート・カッツの提唱によると以下の3つが市場価値を構成する要素となっています。
・テクニカルスキル:業務遂行能力で、担当業務を行うための知識や技術
・ヒューマンスキル:対人関係能力で、周囲と協力しながら任務を遂行するための能力
・コンセプチュアルスキル:概念化能力で、冷静・客観的で本質を把握できる能力
すべてのスキルが必要なわけではなく、業種や職種によって重視するスキルは変わります。
たとえば、営業ならヒューマンスキルが重要ですし、技術ならテクニカルスキル、企画ならコンセプチュアルスキルが重要になります。
市場価値を上げたい!と悩んでいる方は、今の仕事に必要なスキルを磨くことが市場価値の向上につながります。
営業の仕事なら「顧客が何を考えているのか、何を求めているのか、どうすればいいのか」を考えて、商品を提案して喜んでもらうことがヒューマンスキルの向上になります。
それぞれのスキルを向上させて総合的に市場価値のアップを狙うなら、営業→技術→企画のように部署の移動や転職をするのもありです。
まずは「何のために市場価値を上げるのか」を明確にし、目的に沿って必要なスキルを高めていきましょう。
まとめ
30代で仕事の悩みや不満を抱えている人は多いです。悩みや不満を抱えたまま働くのではなく、現状を変えられる方法を模索する必要もあります。
30代は「他にやりたい仕事がある、給料、会社の将来の不安」などの悩みが特に多かったですが、いずれも転職して環境を変えれば解決できる問題です。
転職して条件が悪くなることもあるので、焦って転職をするのではなく、転職エージェントに相談をして、今の自分が転職するメリット・デメリットについてアドバイスをもらうことをおすすめします。その上で、今の会社で問題解決できそうなら工夫し、難しいようなら転職に向けた準備をしましょう。