やりがいは欲しいけど収入もある程度は高くないと生活が厳しい
若いうちから給料重視でやっていっても良いのだろうか
学校を卒業して期待を膨らませながら社会人になったのに、入社して働いてみると仕事が思ったより楽しくない、つまらないと感じている方もいらっしゃるでしょう。
仕事の楽しさや大変さは、実際に社会に出て働いてみないと分かりません。
仕事にやりがいを持って働けるのが理想ですが、やりがいが持てないからと焦って転職を考える必要はありません。まずは給料を重視して、それからやりがいについて考えていくのがベストです。
今回は給料や仕事のやりがいについて考えるためのヒントをまとめてみました。
やりがいよりまずは給料を選んだ方が良い理由
まず、以下の2つのケースがある場合に自分はどちらに当てはまるでしょうか?
- やりがいがある仕事だけど給料が低い
- 仕事にやりがいはないけど給料が高い
若い方は①のやりがいを重視する方も多いでしょう。たしかに、やりがいを持って仕事を頑張っている人はかっこよくて羨ましく思いますよね。
しかし長期的に考えていくと、やりがいよりもまずは給料を選んだ方がいいです。
給料は世間から見たあなたの価値であり、転職市場において評価されるポイントになります。やりがいを持って仕事をしても、給料が低いと残念ながらあなたの市場価値は上がりません。
面接官から見ても月収20万円の人と月収30万円の人では、月収30万円の人の方が優れていると直感的に感じます。給料が採用するきっかけの1つにつながることもあります。
どれだけ「やりがいを持って仕事をしていました」と言っても、給料が低いとなかなか説得力は生まれません。
特にいずれ転職をしてキャリアアップしたいと考えている方は、やりがいよりも給料を優先した方が転職に有利になりやすいです。
年収600万円を目指そう
年収を目標にすることは、やりがいまでとは言えなくてもモチベーションにつながります。
年収1000万円、年収2000万円など多くの年収を目標にする方もいますが、まずは年収600万円を1つの目安にすることをおすすめします。
年収1000万円だとボーナスを含めると月収60~70万円くらいになので現実感がないですが、年収600万円だとボーナスを含めると月収35~45万円くらいなので頑張ったら達成できるような気がしますよね。
年収と幸福度は相関関係になる
年収600万円を1つの目標にするのは、年収600万円あたりが幸福度のピークであることが理由です。
アメリカのダニエル・カーネマンの研究によると、年収7万5000ドル(約800万円)までは収入が増えれば増えるほど幸福度が上昇し、それ以上になると幸福度は変わらないという結果が出ています。
アメリカは日本に比べると給与水準が高くお金の消費量を考慮すると、日本人だと600万円あたりが幸福度のピークと考えられます。
年収が600万円に達するまでは給料が高くなることに喜びを感じてモチベーションにつながりますが、それ以降は給料が増えることにさほど喜びを感じなくなってきます。
私のケースだと、最初に入社した証券会社で年収300万円から600万円に達し、そのあと転職をして年収600万円から1000万円に増えました。
営業の仕事をしていたんですが、年収600万円になるくらいまではがむしゃらに働いて給料が増えることに喜びを感じていました。仕事のつらさも給料アップの喜びでカバーできるほどです。
しかし、年収600万円に達すると「このままでいいのか?」、「転職をしてもっと条件がいい会社で働いた方がいいのでは?」と急に気持ちが冷めて転職につながりました。
自分の体験からも、年収600万円は1つのターニングポイントになると実感しています。
年収が増えて気持ちに余裕が出てくると幸福度は上がらなくなる!それでも生活水準は上がるので年収を1つの目標にするのはあり
「やりがい」という言葉の定義は人によってかなり異なり曖昧
「仕事にやりがいが持てない」、「やりがいを持って仕事がしたい」、これらは転職でごく普通に見かけるワードです。
やりがいとは、何かをするときの手応えや張り合いのことで、「やった甲斐があった」と同じですが、仕事のやりがいという言葉の定義は人によってかなり曖昧です。
仕事にやりがいを求めるなら、「自分にとってのやりがいとは何か?」を明確にしないと、いつまでもやりがいが持てないことへの不満は解消されません。
やりがいポイントは意識して見つけていかないとわからない
やりがいとはどんなときに感じるのでしょうか?
たとえば、趣味で将棋をしているとします。
相手が弱すぎると100%の力を発揮しなくても勝てるので楽しくないですし、相手が強く圧倒的な力量の差があって一切勝てないなら楽しくないですよね。
相手が自分と同じくらいの力量なら張り合いが生まれて勝ったときの喜びも大きくなります。
仕事で言うと、
・自分がやった仕事に対して成果や結果が現れるか
・仕事に張りがあって楽しさを感じられるか
などがやりがいにつながる要素になります。
給料がやりがいなら、頑張った分だけ給料が増えるならやりがいを感じますし、頑張っても給料が増えないならやりがいは感じませんよね。
上司の評価がやりがいなら、成果を出して上司にきちんと評価されるならやりがいを感じますし、成果を出しても悪いとこばかり見られて叱らればかりだとやりがいはないですよね。
人によってやりがいポイントは違い、意識して探さないと見つかりません。自分にとっての仕事のやりがいを具体的に見つけること大事です。
業界や職種そのものとやりがいは無関係
転職を考える方の中には、○○の業界ならやりがいが持てそう、○○の職種ならやりがいが持てる、など業界や職種が変わるとやりがいが持てると言う方もいます。
いわゆる“隣の芝生は青く見える”ですが、結局は「仕事で張り合いがあるか、楽しめるかどうか、目標が持てるかどうか、ライバルがいるか」などが仕事のやりがいにつながってくるため、業界や職種そのものとやりがいは関係ありません。
言い換えれば、今の仕事でも視点を変えたらやりがいが持てる可能性があるわけです。
やりがいは感情!環境が変わっても気持ちが変わらないとやりがいは持てない
自分にとっての「やりがい」を把握できていないのに「やりがい」に翻弄されると転職回数だけ増える
「やりがいないので仕事を辞めて転職したい!」という方の中で、具体的にどんなところにやりがいが持てないのか、どんな仕事ならやりがいが持てるのか具体的に言える方は少数だと思います。
転職理由としてやりがいは便利な言葉ですが、便利ゆえにやりがいを理由に転職を繰り返してしまう可能性があります。
転職そのものがダメなわけではなく、計画的にキャリアアップする転職ならメリットは大きいです。しかし、計画性のない転職は回数が増えるごとに自分の首を絞めることになります。
1つ1つの転職にきちんとした理由があるとしても、面接官は転職回数が多い求職者に対して「人材に難がある」、「雇ってもすぐに辞められてしまうかもしれない」などネガティブな印象を持ちます。
会社をただ辞めたいだけの言い訳になっていないのか
会社を辞めたい理由として、
・人間関係
・給料に不満がある
・仕事がしんどい
・仕事がつまらない
・待遇が良くない
などいろいろあります。
仕事がしんどい・つまらないなどは、「辞める理由としていいのだろうか?、自分が我慢できない人間だと思われないだろうか?」、と思ってやりがいを離職理由にする気持ちは分かります。
しかし、言い訳が通ってしまうと、これからも繰り返してしまいます。自分にとっての仕事のやりがいを分かってないのに、それを離職や転職の言い訳にするのはよくありません。
やりがいは便利で中身のない言葉!鋭い面接官は具体性のない言葉から人間性を見抜く
大きな夢や目標はなくても良い理由
小さいころから夢や目標を持った方がいい!と教えられてきた方が大半だと思います。
夢や目標はあった方がたしかに人生は充実しますが、仕事においては最初から大きな夢や目標を持たなくてもかまいません。
大きな夢や目標を掲げて仕事に取り組むと、理想と現実のギャップから今の仕事にやりがいを感じられなくなります。
まずは仕事に慣れること、仕事をこなすことを重視しましょう。その中で自然と目標が出てくれば、その目標に向かって働くのが理想です。
夢や目標は自分から探して作るものではなく自然と生まれてくるもの!焦る必要はない
人間はほんの小さな前進と勝利をコツコツ実感できるとやる気が出てくる
人間は大きな夢や目標がなくても、小さな前進や勝利を実感できると自然とやる気が出てくるものです。
たとえば、上司や同僚に褒められたらそれは小さな前進で、与えられた仕事をこなすことができたらそれは勝利です。
次も褒めてもらえるように頑張ろう、次に与えられた仕事も頑張ってクリアしよう!と前向きに考えることができれば、それだけでやる気は自然と沸いてきます。
ただ、「こんな仕事はできて当たり前、こんなことで褒められてもうれしくない」と天の邪鬼に構えるとやる気は出ません。
小さな前進や勝利から得られるやる気は、素直に受け止めて喜べる気持ちから来るものです。
目標ハードルはほんのちょっとだけ上げてちょっとずつ更新していく
目標ハードルは最初から高く設定するのではなく、低く設定してクリアできたら少しずつ上げていくのがコツです。
たとえは、出世を目標にするとします。
最初から常務を目標にしても現実的ではないですよね。まずはチームリーダーを目標にし、そのあとに係長、課長と次の目標を設定していきます。
チームリーダーでもハードルは高いので、「教育した部下が仕事で結果を出す」、「人前で堂々と仕事の問題点や改善点を説明できるようになる」など、さらに小さな目標を設定して、1つずつクリアしていきましょう。
目標を小さく細かく設定すれば、それだけ目標達成の機会が増えるので楽しいと感じる機会も増えます。
自分がどこでフロー状態に入るのかを意識して発見する
フローとは、無我の境地・忘我状態と呼ばれる精神状態で、簡単に説明すると時間を忘れるくらい何かに夢中になっている状態のことです。
私は証券会社の営業をしているとき、営業で成績を残すことに夢中(フロー状態)になっている時期がありました。
寝る間も惜しんでクライアント様に喜んでもらえる金融商品や情報を探し、とにかく他の社員より1件でも多く契約を成立させることにこだわり、営業で新しい仕事を得ることに喜びを感じていました。
結果に伴い、給料も増えて本当に楽しかったです。
フロー状態に入ることができれば、やりがいという言葉も忘れるくらいに仕事に没頭できて、周囲からの評価も高くなります。
フロー状態は探してなるのではなく、やっている過程で自然となるものです。
しかし、自分がどんなところでフロー状態に入るのか意識して仕事に取り組んでみると新しい発見があるかもしれません。
仕事が最高に楽しい瞬間はフロー状態に入ったとき!ただし、働き過ぎて体調を崩すこともあるのでいつも以上に体を大切に
過去の遊びや勉強などでフローに入った経験を思い出してみるのも発見につながる
フロー状態は、過去を遡ってみるとどこかで経験している方がほとんどです。
私の場合は、釣りにはまった時期があって仕事の通勤前や通勤後でも釣りに出かけ、休みの日は1日中ずっと海や川にいました。雨の日は自宅で釣りの研究をずっとして、狙いの魚を釣るためにさまざまな参考本を読み漁りました。
このように周囲から言われるのではなく、自分から進んで何かに没頭することがあったなら、それはフロー状態を経験していると言えます。
私はこのフロー状態が仕事にも生かされた形ですが、仕事でフロー状態になっているときは長年の趣味である釣りに見向きもしないほどでした。
釣りも営業もぜんぜん違うものですが、狙った魚を釣り上げたときの快感が営業で契約できたときの快感とすごく似ていました。
過去の遊びや勉強でフローに入った経験を思い出してみると、新しい発見につながるかもしれません。
この記事を読んで余計にわからなくなった人はどうすれば良いのか
この記事を読んで、余計にどうすればいいのか分からなくなった方もいるかもしれません。
理想の流れとしては、「給料重視→小さな目標をたくさん見つける→フロー状態」に持っていくことができれば、やりがいと高い給料のどちらも得ることができます。
それでは理想の働き方について、復習も兼ねて順を追って見てみましょう。
1.年収を600万円以上にする
まずはやりがいではなく給料を目標にしましょう。
目指す年収は600万円以上ですが、最初から年収600万円をもらうことは難しいので、入社してから5~10年くらいを1つの目安にします。
ちなみに私は入社5年目で年収300万円→600万円になりましたが、これは成功報酬型の営業の仕事だったことが大きく関係しています。
短期間で一気に年収を増やすことは基本的にできないので、あまり焦り過ぎる必要はありません。
3年~5年経って給料が増えてくるようなら、仕事の頑張りが給料に反映される職場なので、頑張りに応じてさらに高い年収が期待できます。
社内で目指せない場合は転職を検討する
入社して3~5年しても給料がまったく増えないなら、これから頑張っても年収アップの期待はできません。
社内で年収600万円以上が目指せないなら、今よりも給料が多くもらえる会社に転職を検討しましょう。
年収600万円を狙える仕事は多く、転職エージェントを利用すれば、コンサルタントが自分のスキルや経験にマッチした給料が高い仕事を厳選して探してくれます。
転職エージェントは在職中でも無料で利用ができるサービスなので、転職が頭をよぎるようになったら転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
2.コツコツ小さな前進を実感できる仕事を続ける
年収600万円以上が狙える企業に就職・転職できたら、次はコツコツ小さな前進を実感できることを仕事の中で見つけていきましょう。
そのためには目標設定が必要になりますが、「目標設定→目標クリア→目標設定」を繰り返すことができれば、小さな前進を実感して仕事にやりがいが持てるようになります。
仕事の中で努力だけでコントロールしやすい数値の目標を立てればOK
目標を立てるときは、具体的な数字を掲げることをおすすめします。
事務なら○○分以内に○○件以上を目標、営業なら○○か月以内に○○件以上の成約を目標、おすすめメニューを○○件以上売るなど、どんな仕事でも小さな目標は持てるはずです。
上記の例だと数字をコントロールすることができるので、目標達成したらさらに高い数字を目標にすることができるので継続性があります。
3. 自分がフロー状態になれるポイントを発見してその仕事ばかりできるようにする
「小さな目標を立てて目標を達成する」を繰り返していると、自分でも気づかないうちにフロー状態になっていることがあります。
自然にこの状態に持っていくことができれば、楽しく仕事ができて結果もついてくるようになります。
なかなかフロー状態にならない!という場合は、仕事の中で楽しいと思えるところをピックアップして、重点的に力を入れていきましょう。
会社は複数の業務がそこそこできる人材よりも、他の社員に比べて1つの業務が異常にできる人材の方が貴重です。
仕事でフロー状態になるのは、業務全体に対してというよりは、業務の中で自分が好きな部分やこだわりの部分に対してです。(私の場合だと営業成績)
すべてを器用にこなす必要はないので、自分が好きだと感じる仕事を見つけて没頭しましょう。
必要であれば転職する
仕事の中で小さな目標を設定し、目標をクリアしてフロー状態になるための努力をしても、「仕事にやりがいを感じることができない!」という状態なのであれば、本当にやりがいを感じることができない仕事なのかもしれません。
ここまで来れば、やりがいを理由に転職をしてもいいと思います。
同じ業種・職種に転職をしても同じことを繰り返す可能性があるので、未経験分野に飛び込んでみるのもありです。
これまでの経緯を説明することで自分に合っている仕事が見つかる可能性もあるので、転職エージェントに相談することをおすすめします。
本当に自分に合わない仕事も存在する!いろいろ試してダメなら転職も検討しよう
まとめ
やりがいは後からついてくることが多いので、やりがいばかりを重視して仕事を選んでも上手くいきません。
仕事に励むうちに自然と目標が生まれてやりがいが生まれてくるので、優先すべきはやりがいよりも給料です。
その中でフロー状態になれば、給料とやりがいのどちらも得ることができます。
給料が低い、いろいろ努力してもフロー状態になる仕事ではないという場合は、転職エージェントに相談して転職を検討してみるのもおすすめです。
ただ焦ってやりがいを探す必要はないので、まずは目先の仕事で楽しめることを探してみましょう。