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介護離職したくない人のための対策方法のまとめ

介護離職したくない人のための対策方法のまとめ
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たかーし
二児の父親。家族との時間を作るために、一念発起して某証券会社を退職。現在は個人事業者として自由に働けるスタイルを確立し、以前より家族との時間も収入も増えました。 簡単な道のりではなかったですが、あのとき仕事を辞めてよかったと心の底から思える今があります。転職経験がある個人事業者の立場から転職のアドバイスを発信していきます。

離職する理由の1つに家族の介護があります。
介護離職と言われますが、親の入院・介護が必要になると、サポートするための時間が多く必要になり、これまで通りの仕事ができなくなるというものです。

介護離職で問題になるのが収入です。今の仕事を辞めてしまうと、収入はなくなって経済的な問題が出てきます。
家族の介護が必要になったからと言って、仕事を辞める必要はありません。仕事をしながらでも家族の介護はできます。
私と母は末期がんの父を在宅看護・介護で看取りましたが、私も母も最期まで介護離職することはなかったです。

この記事では、私の経験も含みながら介護離職したくない人のための対策方法をまとめていきます。

介護離職したくない人のための対策方法まとめ

家族の介護が必要になった際、自分の家族の問題なので悩みを1人で抱えてしまう人は多いです。
介護が必要になったからと言って、仕事を辞めて家族のサポートしなければならないわけではありません。

日本は高齢化社会が進んでいることや、親の介護が必要になるのが30~50代の働き盛りの年代ということもあって、介護離職される人口が増えることは国にとっても大きな問題です。

そこで厚生労働省は、介護離職を防ぐ対策として仕事と介護の両立ができる環境作りに力を入れています。そのメインとなるのが以下のような介護サービスです。

・訪問介護サービスを活用する

・介護保険を利用する

・家事代行や訪問美容室サービスを活用する

・介護施設を検討する

介護サービスは多岐にわたり、ライフスタイルや家族の介護状況に応じて選べます。
「家族の介護で仕事を辞めなければならない!」と悩む前に、まずは介護サービスの利用で対策することを検討してみましょう。

介護保険を利用する

介護保険は、介護が必要な人に介護費用を給付する保険になります。平成12年4月から始まった保険制度で運営しているのは各自治体です。

介護保険を使うと、介護サービスにかかる費用のうち自己負担を1~3割に抑えることができます。
介護保険は40歳になると加入が義務付けられ、40~64歳までの被保険者は加入している健康保険と一緒に保険料が徴収されます。

要介護認定されると、介護保険を使って以下のようなサービスが受けられます。

・福祉用具に関するサービス

┗介護ベッド・車イスのレンタル、入浴・排せつ関係の福祉用具の購入費用の助成

・住宅改修費用支給

┗利用者の自宅に手すりの取り付け、段差解消などの小規模な回収

・通所サービス

┗自宅で暮らす要介護者、要支援者が施設に通って食事・排せつの介護、健康管理、衛生管理指導などを受けるサービス

・訪問サービス

┗介護スタッフが自宅で暮らす要介護者、要支援者を訪問し、買い物・掃除・生活支援・食事・排せつなどの介護、健康管理、衛生管理指導などの看護、リハビリ、入浴などを受けるサービス

・短期入所サービス

┗施設に利用者が短期間宿泊し、食事・排せつ・リハビリ・レクレーションなどを受けるサービス

・特定施設入居者生活介護

┗有料老人ホーム、グループホームで食事や排せつの介護、リハビリ、レクレーションを提供する

・居宅介護支援

┗家族の相談対応、ケアプランの作成

このように介護保険があれば、さまざまな介護サービスを受けられます。
私の場合は、母が介護職で介護サービスに詳しかったので、訪問の介護サービスを活用して介護離職せずに済みました。
介護サービスの利用は介護離職をしない対策としてかなり有効です。

訪問介護サービスを活用する

訪問介護とは、介護福祉士や訪問介護員が被介護者の自宅を訪問し、食事・入浴・排せつなど体に触れる身体介助や、掃除・洗濯・調理などの家事面での生活支援、通院時の外出移動サポートなどを行うサービスです。

被介護者の介護度や状況に応じてサービスを受けることができます。

訪問介護は、

・介護する側の家族に疲れがある人

・基本的に1人で生活できるが部分的なサポートが必要な人

・自宅での生活を継続したい人

などに向いているサービスです。ちなみに私の場合は、父が末期ガンで寝たきりだったことから、訪問介護サービスと訪問看護サービスを主に利用しました。

訪問看護では、

・点滴

・床ずれの措置

・人工呼吸の管理

などを行ってもらいましたが、訪問看護は介護保険ではなく「医療保険」の適用になります。
私の場合、ずっとスタッフが付いておく必要はなかったので、訪問介護、訪問看護のサービスを利用しても月にかかった費用は2~3万円でした。

訪問介護サービスの相談先は、地域包括支援センターがおすすめです。地域包括支援センターは地域の高齢者を支えるために介護予防ケアマネジメント、総合相談、包括的・継続的ケアマネジメント、権利擁護の業務を行っています。
在宅介護の悩みに対し、さまざまな視点から対策を考えてくれます。相談料も無料なので、介護離職する前に利用しましょう。

たかーし

介護離職をしない対策には相談が有効!地域包括支援センターに気軽に問い合わせてみよう

家事代行や訪問美容室サービスを活用する

訪問介護は、被介護者の生活援助のために「調理、洗濯、掃除」などのサービスをしてくれますが、これらは被介護者本人のみに提供できるサービスで同居する家族のサービスは対象外です。

働きながら家族の介護をしていると、仕事から家に帰ったら介護に時間が取られてしまい家事に時間が取れません。
そこで上手に活用したいのが家事代行サービスです。

家事代行サービスは介護保険の適用外になりますが、その代わり介護保険で受けられない被介護者の家族の家事代行などを受けられます。
日中は訪問介護を使って、土日や夜間に家事代行サービスを利用している人もいます。

家事代行サービスは1時間あたり2000~5000円ほどかかるので、まずは介護保険サービスが適用される訪問介護を利用し、訪問介護で足りない部分を家事代行サービスで補うのがよいでしょう。

また介護の理由が認知症の場合、大変なのが洗髪や散髪です。
最近は自治体が提供する「高齢者向けの訪問美容室サービス」なども増えているので、このような出張サービスも上手に活用して介護にかかる負担を減らしましょう。

介護施設を検討する

介護離職をしない対策として介護施設の利用があります。
介護施設に入所すれば、施設のスタッフが代わりに介護してくれるので仕事をこれまで通り続けられます。

介護施設には、公的施設と民間施設の2タイプがあります。以下の表をご覧ください。

民間施設入所できる介護度相場特徴
介護付有料老人ホーム自立~要介護5月15万円~民間企業が運営している24時間対応型の介護施設。
住宅型有料老人ホーム自立~要介護5月15万円~介護を必要しない自立向けが多い。要介護者や認知症を受け入れている施設もある。
グループホーム要支援2~要介護5月15万円~地域密着型の介護施設。認知症高齢者を対象に少人数で共同生活する施設。
公的施設入所できる介護度相場特徴
特別養護老人ホーム要介護3~要介護5月10万円~在宅での生活が困難になった要介護の高齢者が入居できる施設。費用は世帯収入で変わる。
介護老人保健施設要介護1~要介護5月10万円~在宅復帰を目的とした施設。入居者は収入や課税額に応じた助成制度や補助金を受けられる。
介護療養型医療施設要介護1~要介護5月10万円~比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置とリハビリを提供する施設。

民間施設だと月額15万円~、公的施設だと月額10万円~から介護施設に入居できます。
民間施設の方が金額は高めですが、その代わりサービスの幅は広いです。公的施設は世帯収入によって月々の費用が変わります。

介護が必要な家族が年金をもらっているなら、年金でほとんどの費用をカバーできます。
介護離職して収入が完全になくなって介護するより、介護が必要な家族の年金と給料の一部を介護施設の費用に充てる方が、資金の面でも介護の面でもラクです。

サービスや施設に支払えるお金がない人はどうするべきか

付きっきりの介護が必要なら介護施設、一部の介護が必要なら訪問サービスの利用で介護離職は避けられます。
しかし、介護施設や訪問サービスを利用できるだけの金銭的な余裕がなく、介護サービスが利用できないという人もいるでしょう。

サービスや施設に支払えるお金がないなら、なおさら収入が絶たれる介護離職は避けたいものです。
ここでは、介護サービスに使えるお金がない人の対策を紹介します。

介護保険以外にも活用できそうな福祉を利用する

何らかの理由で介護保険が適用されない場合の対策として、自治体が行っている公的介護保険外サービスを利用する方法があります。

同じサービス内容であっても市町村によって名称は異なりますが、いずれも公的介護保険サービスと組み合わせることで介護の質を上げられます。

介護保険以外に活用できる福祉として「社会福祉協議会」があります。
一般的に社協と呼ばれている民間団体ですが、運営資金の多くは行政機関の予算措置となっているので半官半民で運営されています。

社会福祉協議会が行っている介護サービスの種類は自治体によってさまざまですが、無料~格安で利用できる介護保険外のサービスもあります。

たとえば、

・高齢者の閉じこもりや孤立を防ぐためのサロン

・高齢者や障害によって体の機能が低下した人を対象に体の機能訓練を高める事業

・食事を調理することが困難になった住宅で暮らしている高齢者への配食事業

・日常生活の支援が必要な人への軽度生活支援事業

・買い物やゴミ出しなどちょっとした困りごとを支援するサービス

このような福祉・介護サービスは、市役所・区役所の介護保険課・高齢者福祉課などで総合的な相談が受けられます。

たかーし

自治体が絡む福祉サービスはかなりお得!積極的に活用しよう

ローンでお金を借りる

家族に介護が必要になると、介護用品・介護機器・介護施設への入所などでまとまったお金が必要になります。
中には、まとまったお金を工面するために介護離職をして退職金をもらうという人もいます。

退職金でその場は乗り越えることができても、介護施設や訪問サービスを継続して利用するとなると、毎月一定のお金が必要になります。
離職して収入が減るのは避けたいところです。

介護で多額の資金が必要になったとき、対策として検討したいのが介護ローンです。

介護ローンの種類は以下の表をご参照ください。

ローン金利貸付額備考
生活福祉資金貸付制度1.5%~10~500万円日常生活上療養または介護を要する高齢者が属する世帯に限る。
銀行の介護ローン3.0%~10~1000万円介護を必要とする家族がいる家庭が対象。
銀行・消費者金融のカードローン15.0%10~1000万円多目的に使えるローン。借り入れまでのスピードが速い。

生活福祉金貸付制度が低金利で借りられてお得ですが、介護休業に関する証明書の提出、制限などがあります。
銀行の介護ローンは金利がやや高いですが、収入に応じてまとまったお金の借り入れも可能です。

生活福祉資金貸付制度や銀行の介護ローンが利用できない場合は、銀行や消費者金融のカードローンを利用する方法もあります。
ただし、カードローンは金利が高いので、高額の借り入れや長期返済になるようならおすすめしません。

たかーし

ローンを利用するなら先に返済計画を立てよう!無理な借り入れは自分の首を絞めることになる

年収の高い仕事へ転職する

介護にかかる費用を少しでも軽減するためには、自分の年収を上げるのも方法の1つです。
「年収を上げると言っても簡単なことではない!」と思うかもしれませんが、転職活動をしてみると今より給料がいい求人は意外と見つかるものです。

「転職活動をして仕事が見つからなかったどうする?」という不安もあると思います。
転職活動は仕事を辞めてから行うのではなく在職中に行うのが基本です。
もし今より給料の条件がいい仕事が見つかれば転職をして、見つからなければ今の仕事を続ければいいだけです。

年収の高い仕事に転職するためには、自分1人で求人を探すのではなく転職エージェントの利用をおすすめします。

転職エージェントなら転職のプロに相談して、自分のスキルや経験にマッチした求人を探してくれます。
事前に条件を提示しておけば、条件に見合った求人を厳選して探してもらうこともできます。

たとえば、「今より給料アップ」、「介護のために夜は定時で帰れるところ」、「介護のために土日祝日は休みが欲しい」という条件をエージェントに伝えておけば、それぞれの条件にマッチする求人を見つけてくれます。

介護を含む家庭の事情を考慮して転職支援をしてくれるので、家族の介護をきっかけに転職を検討するなら転職エージェントの利用を検討してみましょう。

たかーし

介護しやすい環境に転職するとストレスも軽減される!まずは転職エージェントの無料相談を活用してみよう

副業を始める

今の仕事のリズムが家族の介護に合っているなら、今の仕事をしながら副業をして収入を増やす方法もあります。

以前は副業が禁止されている会社が多かったですが、最近は政府主導による「働き方改革」によって副業を解禁する企業が増えています。
以前に比べると副業をするハードルは下がっています。

副業を探す方法として、ココナラのように自分の特技が売れるサービスや、クラウドワークスのような在宅ワーク・内職の仕事を募集している求人サイトを利用する方法があります。

将来的に独立や起業を検討しているなら、副業で実績を積んでおくのもありです。

まとめ

介護離職せずに家族の介護をする対策方法はたくさんあります。
国も家族の介護を抱えている労働者が仕事と介護を両立できる社会の実現を目指し、仕事と介護の両立にあたって課題や企業の両立支援に力を入れています。
今後はより介護と仕事が両立しやすい社会に変わっていくでしょう。

介護サービスや支援は多岐にわたることから、専門知識がないと分かりにくい部分もあります。
1人で悩み考えるのではなく、まずは自治体に相談してみましょう。
介護にはお金もかかりますが、介護保険や福祉サービスを上手に活用して金銭的な負担を減らせます。