安定した職業と言われる公務員。
周囲から「給料が減らなくてうらやましい」、「業績を気にする必要がないので精神的にラクそう」などと言われた経験がある方もいるでしょう。
しかし、公務員の仕事はラクではありません。人間関係も特殊でストレスも多く、異動で辞めたくなることもあります。
中には、50代で公務員を辞めて転職をしたい!と考えている方もいるかもしれません。
50代は転職が厳しい年代と言われていますが、公務員を辞めて他の会社に転職することは可能なのでしょうか?
この記事では、50代で公務員を辞めたい人が考えておきたいことを理解できるようにまとめました。
50代で公務員を辞めた場合に考えられる道とは
50代で公務員を辞めても年金をもらうには早く、退職金だけで余生を過ごせるとも限りません。仕事をして生活費を稼がなければならない人が大半だと思います。
50代で公務員を辞めた場合の働き方として、民間企業や公的機関への転職、個人事業主・フリーランスになるなどの選択肢があります。
それぞれの働き方について詳しくて見ていきましょう。
民間企業への転職
一般的に公務員から民間企業への転職は、民間企業から民間企業の転職に比べてハードルが高いと言われています。
これは民間企業と公務員では働く目的が以下のように異なっているためです。
・公務員:国民、住民のために仕事を行う。
・民間企業:会社の利益を増やすために仕事を行う。
公務員は利益の追求をしない職業であるため、雇う側の民間企業は「雇っても戦力になってくれるか不安、がつがつした感じがしない」と思うわけです。
50代はさらに年齢の壁で採用されにくくなります。
しかし、公務員でもこれまでの仕事内容によっては民間企業への転職がスムーズに行えるケースもあります。
たとえば、
・警察官→警備会社の社員
・法務局職員→司法書士、行政書士
・教師→予備校の講師
・労働基準監督職員→社会保険労務士
などです。公務員時代の経験やスキルが活かせる職業があれば、50代でも公務員から民間企業に転職できる可能性は高くなります。
同じ公務員への転職
公務員の転職で比較的しやすいのが、以下のような公務員から公的機関(公務員)への転職です。
・国家公務員→区役所
・市役所→県庁
・市役所→図書館司書
「市役所で働いてみて解決したい問題が県庁の職員ではないと解決できない」、
「国家公務員として働いてみて、もっと市民に近いところで仕事がしたいので区役所で働きたい」
など、目的がはっきりしていれば転職できる可能性も高くなります。
大きな問題を起こしていなければ、50代でも公務員から公務員への転職は即戦力として求められることもあります。
個人事業主、フリーランスになる
公務員からの転職で個人事業主・フリーランスなど独立するという方法があります。
個人事業主・フリーランスは収入が安定しないデメリットはありますが、自分のペースで働けることや軌道に乗ったら公務員時代よりも多くの収入が得られることもあります。
個人事業主・フリーランスとしての働き方はさまざまです。
たとえば、
・司法書士や税理士などの難関資格を取得して独立
・公務員時代の知識や経験を活かしてコンサル
・飲食や理容、美容など自分のやりたいことを仕事にする
・webデザイナー、webライター、webマーケティングなどIT関連の仕事
なども公務員から個人事業主に転職する際の選択肢として挙げられます。
固い職業の公務員と自由な職業の個人事業主はまさに対極の位置になります。公務員の働き方がつらいという方にはおすすめの働き方です。
働きながらできることをやる方が◎
50代の公務員が転職する場合、特に民間企業や個人事業主に転職するならスキルや資格が必要になります。
公務員は副業や兼業が禁止されているため、副業をしながら転職の準備を進めていくのはリスクがあります。
しかし、転職に有利になる勉強や資格取得などは禁止されていません。
仮に「司法書士になって公務員を辞めて独立したい!」という目標があるとします。
公務員として働きながら司法書士の勉強をすることは可能で、資格取得ができて準備ができたら公務員を辞めるとよいでしょう。
働きながらしておきたいことに、人脈作りもあります。
人脈作りは、趣味のゴルフ・釣りで友達を増やす、飲み友達を増やすなど、コミュニティの場を広げていくだけでも十分です。
趣味友達でも大切に付き合っていれば、転職や独立したときに思わぬところで力になってくれたりするものです。
まずは公務員を辞めた後のビジョンを明確に!そのあとに働きながらできることを探ろう
FXや不動産のようなお金を直接使って増やすような副業は9割以上が失敗します
公務員を辞めたい方の中には、退職金や貯金を使って投資をしようと考えている方もいるかもしれません。
ネットで投資を調べて見ると、
・不動産運用でらくらく生活
・FXや株で1億円儲けた
など、投資をすれば簡単に儲かると言った情報がたくさんあります。
実際にお金を直接使って増やすような投資・副業は90%以上が失敗しています。公務員で稼いできたお金を投資や副業でカバーするのはハイリスクです。
もちろん投資やお金を使う副業が完全に悪いわけではありません。
これらは余剰資金で行うのが基本であり、余剰資金で行った方が心に余裕も出て利益が出たりするものです。
私は証券マンとして働いていたことがありましたが、投資で利益を出していたのは別に収入源がある方ばかりでした。
投資やお金を使う副業は、仕事をして収入が安定してから考えましょう。
投資やお金を使う副業の収入はあてにしないのが鉄則!甘い言葉に惑わされないように
公務員を辞めたい本音を考えよう
隣の芝生は青く見えるという言葉があるように、公務員として働いている方からすると民間企業や個人事業者、他の公的機関で働いている人がうらやましく思えるかもしれません。
しかし、実際に他の仕事をしてみると今の仕事にはなかったつらさや課題などが新たに出てくるものです。
その上で公務員を辞めたい本音と改めて向き合ってみましょう。
公務員を辞めたくなる理由として以下のようなものがあります。
・市民からのクレームがきつい
・残業が多くつらい
・人間関係がつらい
・仕事がつまらない
このような悩みがあると、日々の業務はつらくて大変です。
公務員は異動がある仕事が多く、異動によって上記の問題は解決するケースも多くあります。
たとえば、市役所で働いていても同じ課にずっといるわけではありません。課によって市民との関わり方や人間関係、仕事内容、働く時間なども変わります。
環境を変えられる可能性がある以上、そのときの感情だけで辞めてしまうのはもったいないです。
それでも公務員を辞めて利益追求の民間企業や自由に働ける個人事業主になりたい!という意志が変わらないなら、公務員から転職する準備や計画を立てていくとよいでしょう。
相談できる人に相談。相談相手がいない場合はサービスを活用しよう
「公務員を辞めたい」と知人や家族に相談すると、多くの人は「転職は辞めた方がいい」と言うでしょう。
反対されるなら最初から相談しなければいいのでは?と思うかもしれません。
しかし、転職は今後の人生を大きく変えるイベントでもあります。相談をしていろいろな人の意見を聞くことは大事なことです。
そして反対されないだけの理由を説明して納得してもらいましょう。
「相談相手がいない」、「客観的なアドバイスが欲しい」という方は、転職エージェントの利用をおすすめします。
転職エージェントを利用すると、無料で転職のプロにキャリア相談ができます。
相談することで、
・公務員を辞めた方がいいのか
・辞めたあとにどんな仕事があるのか
・今より待遇は良くなるのか
などのアドバイスがもらえます。
アドバイスを聞いて転職を決意したなら、在職中でもそのまま転職活動を進められます。
転職エージェントは一般に出回らない非公開求人を多く持っているので、より自分の希望する条件の仕事が見つかるかもしれません。
50代の公務員からの転職は自分1人で考えるのではなく、いろいろな人に相談して決めていきましょう。
体調を崩しかねないような激務で働いていると中長期的に見て良くない方向に進んでしまうことがあります。
早め早めに相談して対策を考えておくと良いでしょう。
(参考:激務で公務員を辞めたい人が事前に知っておきたいこと)
50代の未経験からでも働ける職種とは
公務員を辞めて民間企業に転職したい場合、50代が未経験でも働ける職種として以下のような仕事があります。
・介護、福祉
・警備
・運送業界
・運搬、倉庫
・清掃
これらの職種は特殊なスキルや経験が必要なく、人手不足で求人情報もたくさんあるので50代でも転職できる可能性は十分にあります。
ただし、転職ができても公務員時代よりいい給料がもらえる可能性は低く、仕事によっては年間休日数も大幅に減ってしまうかもしれません。
採用されても最初から正社員として働けず、非正規社員として働きながら正社員を目指す形になるケースもあります。
「公務員として終えるのではなく民間企業で働いてみたい」、「いろいろな経験がしてみたい」という目的があるなら問題ないですが、スキルアップや待遇改善を求めて民間企業に転職しても希望の条件を満たせる可能性は低いので十分な検討が必要です。
給料や待遇が悪くなるとモチベーションは下がる!転職の意志が固まるまでじっくり考えよう
まとめ
50代の公務員からの転職はいろいろな不安がつきものです。
転職することはできますが、転職することで給料や待遇が悪くなる覚悟は必要になります。
もちろん、これまでの経験やスキルを活かすことができれば、公務員時代よりもいい環境で働ける可能性も十分にあります。
大切なのは、公務員を辞めたい理由に向き合うこと、公務員を辞めて何がしたいかを明確にすることです。
その上で公務員を辞めるメリットとデメリットを天秤にかけ、家族や知人、転職エージェントなどに相談して今後のことを考えていきましょう。
もう少し転職について具体的なイメージを持ちたい人は50代で転職に失敗しない3つの心得とは?【事前に知っておきたい】の記事を読んでみてください。
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