転職の不安として多いのがお金です。在職中から次の仕事を見つけることができても給料が下がることや、新しい職場に馴染めず仕事をすぐに辞めてしまう可能性もあります。
貯金はある方が心に余裕が生まれます。気持ちの焦りで転職に失敗しないためにも、できるだけ離職するまでにお金を貯めておきましょう。
それでは具体的にどれくらいの貯金をすればよいのでしょうか?年齢や婚姻・独身によって必要なお金は変わってくるので一概には言えません。
この記事では、転職時に必要な貯金を年齢・結婚の有無別に紹介していきます。
年齢別で異なる転職の貯金!あなたはいくら必要??
まず、転職に貯金が必要な理由として以下のようなものがあります。
- 転職活動費(交通費、スーツ、資料代などの費用)がかかる
- 転職で給料が下がったときにリカバーするための費用
- すぐに仕事が見つからなかった場合の生活費
このうち、②・③については仕事をしながら次の職場を探したり、今よりも給料が下がらない職場を探したりすることで余分な費用がかかるのを防ぐこともできます。
しかし、①についてはコネで転職でもしない限りお金がかかってきます。
リクナビによるアンケートでは、転職活動にかかる費用が以下のようになっています。
・10万円未満:67.6%
・10~30万円未満:11.5%
・60~90万円未満:2.4%
・90万円以上:0.6%
転職活動費は10万円未満が約70%の結果になっています。
10万円以上かかるのは、県外への転職で交通費がかかるケースや研修などの費用が多くかかるケースであり、近場の転職なら10万円未満でも転職可能です。
この結果から、最低10万円もあれば転職することはできます。
実際に転職活動のために必要だと思う貯金は10万円未満だと答えている人は全体の40%以上(リクナビ調査)です。
ただ、実際に転職するとなると10万円未満では心細く、もっとお金に余裕を持って転職活動を始める人が多くいます。
年齢が上がるにつれて家族の問題や生活水準が変わってくる
同じ10万円の貯金でも、新卒で実家暮らしをしている20代と、高校生と大学生の2人の子どもがいる40代では10万円の重みが大きく変わります。
実家暮らしをしている20代なら10万円の貯金でも生きていけるかもしれませんが、子どもを育てている40代だと子どもにかかるお金で10万円は一瞬で消えます。
年齢が上がるにつれて家族構成や生活水準も変わり、若い頃よりも必要なお金は多くなるケースがほとんどです。
年上よりも年下、既婚よりも独身の方が必要になるお金は少ない!毎月の生活費がどれくらいかかっているか算出してみよう
余裕がない人は働きながらの転職が無難
「お金に余裕がない」、「転職でお金を失いたくない」という方は、仕事を辞めてから新しい仕事を探すのではなく、働きながら次の仕事を見つけて転職するのが望ましいです。
中には、「失業保険をもらいながら次の仕事を探したらいい」と考えている方もいるかもしれませんが、自己都合の退社で失業保険が支給されるようになるのは、離職してから3か月後になります。
さらに失業保険の給付率は給料の50~80%であり、仕事をしていたときよりも1カ月にもらえる金額は少なくなります。
お金に余裕がないなら失業保険に頼らず、仕事を辞めたタイミングで次の仕事が始められるように時間をかけて準備することをおすすめします。
ただし、転職が上手くいっても給料の支払いスケジュールが異なると、1~2カ月ほど収入がない月が発生することもあります。
次の仕事が見つかっているからと言って貯金がなくてもいいわけではありません。転職に必要なお金を事前に計算しておく必要があります。
エージェントは使い倒せばOK
働きながらの転職活動を考えている方は、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
転職エージェントは転職のプロの支援を無料で受けられるサービスです。自分の経験やスキルにぴったりの仕事を探してもらうことや、貯金も含めて転職についての不安や疑問を相談することもできます。
「お金に余裕がなく働きながら次の仕事を探したい!」とエージェントに相談しておけば、仕事が忙しく仕事探しができなくても代わりに求人情報を探してくれます。
一般の求人情報には掲載されないような条件のいい非公開求人も多く持っているので、給料や働く条件などを重視する人にもおすすめです。
無料の転職エージェントは使わないと損!的確なアドバイスをくれるのでまずは相談してみよう
20代の場合に必要な貯金
20代の平均年収は232.5万円(厚生労働省のデータ参考)です。20代はさまざまなライフイベントがあり、結婚・教育・住宅購入費用などがかかってくる人も出てきます。また友人の結婚式に呼ばれる機会も多く、交通費やご祝儀などの臨時出費が必要になるケースもあります。
20代の独身・既婚者の場合でどれくらいの貯金が必要なのか紹介します。
20代の独身の場合
20代の独身に必要な貯金は30万円以上です。もし転職に失敗したとしても実家に戻るという選択肢や、体力もあってフットワークも軽い年代なのでアルバイトをしながら仕事を探すこともできます。
ただし、友人の結婚式のお誘いラッシュが起こるケースもしばしばあり、交通費やご祝儀などが多くかかることもあります。急場をしのぐためにも最低限50万円の貯金は欲しいところです。
20代の既婚者の場合
20代の既婚者、もしくは婚約者は結婚や新婚生活に多くの費用が発生します。仕事を辞めてから次の仕事が見つかるまでの費用、結婚生活を維持するための費用を考慮すると、100万円~300万円の貯金は欲しいところです。
100万円は4カ月無休でも大丈夫な貯金額と言われているので、次の仕事が決まらない状態で転職をするなら最低限必要なお金になります。
30代の場合に必要な貯金
30代の平均年収は309.6万円(厚生労働省のデータ参考)です。マイホーム購入や結婚、出産などのライフイベントが目白押しの年代なので、これらのイベントに貯金を使ってしまったという人もいるでしょう。
30代の独身・既婚者の場合でどれくらいの貯金が必要なのか紹介します。
30代の独身の場合
30代独身は在職中に次の仕事を探せば、転職そのものにかかるお金は少ないです。しかし、マイホーム購入や結婚などのイベントでお金がかかる可能性が出てくるので、200~300万円以上の貯金は残しておきたいものです。
金融広報中央委員会が2019年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」においても30代の単身世帯の平均貯金額は「176万円」となっています。
30代の既婚者の場合
30代の既婚者だとマイホームの購入や子どもの教育資金にお金が多くかかる年代になります。
マイホームはローンで購入する家庭が多いですが、最低でも物件価格の10%程度は頭金として支払います。
仮に3000万円のマイホームを購入するなら300万円の資金は最低でも必要です。
転職で貯金の一部を生活費にカバーすることを考慮すると、300~500万円以上の貯金は残しておきたいものです。
40代の場合に必要な貯金
40代の平均年収は375.3万円(厚生労働省のデータ参考)です。40代になると退職後の出費なども考えながら資産形成を始める年代になります。また転職を行う場合は一定の退職金が期待できる年代でもあります。
40代の独身・既婚者の場合でどれくらいの貯金が必要なのか紹介します。
40代の独身の場合
40代は、このまま独身で生きていくという人も出てくる年代です。家族を持たない余生を考えているなら、結婚・出産・教育などのイベントに伴う出費はありません。
独身で生きていくなら老後にどれだけのお金を残せるかどうかが重要になります。
急な出費に備えるためにも、金融資産を保有して資産形成をしていくためにも、300万円程度の貯金は残しておきたいものです。
ちなみに、金融広報中央委員会が2019年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」においても30代の単身世帯の平均貯金額は「255万円」となっています。
40代の既婚者の場合
40代の既婚者は30代と同様に住宅ローンの返済や子どもの教育資金などの支払いが多くかかります。20代~30代前半で結婚して子どもを授かった家庭だと、受験とも重なって多額の学費がかかります。
高校なら135~312万、大学なら244~458万円が必要だと言われています。
貯金は多いに越したことはありませんが、転職をするなら目先の出費をカバーするために30代と同じく300~500万円以上の貯金を残しておきたいものです。
50代の場合に必要な貯金
50代の平均年収は420.1万円(厚生労働省のデータ参考)です。50代になると教育にかかる出費が落ち着き、早い人だと住宅ローンの完済に差し掛かる人も出てきます。
50代は退職金も期待できるので転職にかかる費用も退職金でカバーできますが、老後のことを考えるとしっかり貯金を残しておきたいところです。
50代の独身・既婚者の場合でどれくらいの貯金が必要なのか紹介します。
50代の独身の場合
50代の独身の平均貯金額は、2019年に行われた金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」において420万円になっています。
転職をして現在の生活を維持するだけなら、退職金も期待できるので400万以上の貯金があれば十分です。
老後については年金で生活費のカバーができますが、急な出費やケガ、車などの買い物で多額のお金がかかるかもしれません。
老後の貯蓄について考えるなら、50代のうちに1000万円以上は貯めておきたいところです。
50代の既婚者の場合
50代の既婚者はライフイベントが落ち着く年代に入るため、30~40代に比べると結婚・ローン・教育などにかかる出費は少なくなります。
転職にかかる費用や一時的な生活費のカバーについても退職金で十分に賄うことができるでしょう。
しかし、50代で転職をすると給料が下がるケースが多く、これまでのように安定して貯金できるとは限りません。
老後の生活のことを考えると、単身者と同じように50代のうちに1000万円以上は貯めておきたいものです。
働いていない時の出費は想像以上!辞めた後に会社員の頃の待遇が良かったと嘆かないように
働いていないときにかかる出費の中でも、特に注意して欲しいのが健康保険・年金・税金です。
仕事をしているときは健康保険料や厚生年金をかけますが、どちらも会社が折半して払ってくれます。
しかし、仕事を辞めるとこれまでかけていた保険料をすべて自分で払うことになるので負担額が大きくなります。
税金も会社が管理して代わりに納めてくれていますが、会社を辞めると自分で管理して納めなければなりません。
現在収めている税金は、前年度分の収入に応じた税金になるので、仕事を辞めても税金は納め続ける必要があります。
会社を辞めた後に会社員の頃の待遇が良かったと嘆かないためにも、特に負担が大きくなる健康保険・年金・税金の支払いがどれくらいになるのかシミュレーションしておきましょう。
貯金額が少ないけれど今すぐ辞めたい!どんな人なら大丈夫?
転職に貯金が必要なことは分かっていても、仕事を辞めたいと思っている状態から新たにお金をたくさん貯めるのは困難です。
「貯金額が少ないけど、今すぐに仕事を辞めたい!」という方も中にはいるでしょう。
実際に貯金が少なくても転職している人は多く、転職したことによって給料が上がって貯金が増えるケースもあります。
ただし、貯金がない状態だと気持ちが焦って転職に失敗やすいため、自分のスキルや経験を客観的に分析できる人でないと理想の転職を実現するのは難しいでしょう。
貯金がないならやはり働きながらの転職が一番コスパ◎
貯金がない状態で転職を成功させるなら、やはり働きながら転職活動を進めていくのがコスパ的にも精神的にもおすすめです。
すぐに辞めたいにしても、その場の勢いだけで辞めてしまうことは絶対に避けてください。
仕事を辞めた時点で新たな収入源がなくなってしまい、それから次の仕事を見つけて給料をもらうまでの生活費は貯金や退職金からすべてカバーしなければなりません。
特に生活費をカバーできるだけの貯金がない人は、冷静になって働きながら次の仕事を見つける必要があります。
すぐに辞めたい!今すぐ辞める!その前に転職エージェントに相談しよう
まとめ
転職時の貯金は、多ければ多いほど気持ちに余裕が持てます。
できれば貯金をした状態で転職するのが望ましいですが、貯金がぜんぜんないけど今すぐ仕事を辞めたいという方もいるでしょう。
貯金がなくても転職することはできます。しかし、貯金がないと気持ちの焦りで転職に失敗しやすいので、転職エージェントのサービスを利用して仕事をしながら次の職場を見つけるのがベストです。
転職エージェントは求職者の悩みにしっかり応えてくれるので、貯金がなくて転職を迷っている方はまず相談してみてはいかがでしょうか。